第14章 心の行方
普段滅多にそこまで気持ちを言葉に出さない四葉さんが、そうまでして逢坂さんに何かを伝えようとしているのを見て、さすがに2人がかりで押さえるのはと四葉さんに救いの手を出そうとした時、私の前にスッと影が落ちて、行く手を阻んだ。
『・・・ナギさん?』
見上げればそれは、ナギさんの背中で。
それでも1歩前にと出ようとすれば、それをまたナギさんの背中が止めた。
ナ「マリーがなにをしたいか、ワタシにも分かります。でも今は、このまま見守りマショウ」
『でもそれじゃあ四葉さんが・・・』
ナ「No problem・・・ソウゴもタマキも、みんな仲間デス。気持ちと気持ちがぶつかり合い、キズナ深まりマス。それでもダメな時は・・・コブシとコブシで話し合いデスね」
パチン!と大袈裟なくらいのウインクを見せられ、なんだかちょっと、拍子抜けしてしまう。
気持ちが伝わらなければ、コブシと・・・コブシ・・・?!
ちょっと待って。
ナギさんらしからぬ物言いに驚きながらも、おかしな知識をつけたのは誰?!と目を丸くする。
・・・多分、二階堂さん辺りが怪しいけど。
環「急に辞めるとか!なんでひとりで勝手に決めるんだよ!ハッキリ俺に言えばいいだろ!」
壮「環くん、ちょっと待ってくれ・・・なんの話だ?」
環「だから!俺にムカついて辞めるとか言ってんだろ?!」
壮「そんなこと行ってないだろう。とにかく、話を聞いてくれ」
ヒートアップして行く四葉さんに対して、冷静に話をしようという逢坂さんは、いつもながら正反対な感じで、それでも四葉さんはまだ聞く耳を持とうとしない。
環「他に理由なんかねぇじゃんか!そーちゃん倒れて、救急車で運ばれて!だからもう絶対そーちゃんに迷惑かけないようにしようと思って、マジで反省してたのに・・・なんでだよ!マリーだってスゲー泣いてたのに!!」
壮「えっ・・・愛聖、さんが?」
四葉さんの言葉に出てきた私の事で、逢坂さんが驚いた顔で私を見る。
壮「僕のせいで・・・愛聖さんが、泣いた・・・?」
『あ、あの、それは事情があって!だから逢坂さんのせいとかじゃありません』
環「でもみんながびっくりするくらい泣いてたじゃんか!これからはホントにちゃんとしようって思ってたのに・・・これで、終わりだとか・・・言うなよ・・・」