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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第14章 心の行方


ベッドの布団を僕に掛け直した社長がそのままドクターを部屋から丁寧にお礼を言って送り出し、廊下に出ていた2人を呼び戻す。

小「壮五くんも入院しなくていいって事だし、僕はそれを報告しながら万理くんに迎えの車を出して貰えるように連絡をしてくるから、ここ、頼んだよ」

紡「分かりました」

またひとつ、静かな部屋から出て行く足音が遠ざかって行く。

病院って・・・こんなにも寂しいと思えてしまう場所なんだな。

それなのに、陸くんは子供の頃は入院生活が多くて寂しい時はいつもお兄さんが側にいてくれて歌を聞かせてくれたりしたって言ってた。

だから自分も、その時のお兄さんのように歌を・・・とか。

そんな陸くんの、みんなの夢を、僕のせいで・・・

紡「壮五さん。なにか飲み物でも買ってきましょうか?陸さんも温かい飲み物があった方が・・・」

「そう、だね・・・お願いします」

マネージャーがそう言いながら部屋を後にして、小さな足音が廊下に響いていく。

そろそろ、いいかな。

「陸くん。もしかして僕に、聞きたいことでもある?」

さっきからどことなく悲しげに僕を見たり、そうかと思えば、急に笑顔を向けて来たりする陸くんに声を掛ける。

陸「聞きたいこと・・・というか、その・・・」

「いいよ。なにを聞いてくれても。僕が答えられる事なら、ちゃんと答えるから」

僕がそう言うと、陸くんは少しホッとした顔を見せながら、それじゃあ・・・と姿勢を正す。

そうまでして姿勢正しくされると、なにを聞いてもいいと言った僕は、少しだけ・・・どんな事を聞かれるんだろうかと心がザワザワとする。

陸「あ、あの!た・・・環のこと、まだ怒ってますか?」

「え・・・環くん?!」

なにを聞かれるのかと思えば、陸くんの口から出た言葉は環くんの名前で。

陸「環から聞いたんです。いろんな事情があって生放送に遅刻したって。それで・・・壮五さんが口聞いてくれないって言ってて」

「そうだね・・・確かに環くんの事を怒ってはいたよ。それまでに何度もギリギリセーフな事も多かったのに、今回は大遅刻どころか番組にアナを開けてしまったんだから」

連絡のひとつもしてこない環くんに、どうしてなんだと思いながらプロデューサーに頭を下げ続けていたんだから。

陸「オレも環がやった事はイケナイ事だと思います。けど・・・」
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