第14章 心の行方
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
静寂を纏う空気が動く気配がして、ふと・・・目を開ける。
最初に見えたものは、真っ白な天井で。
ここはどこなんだろうかと体を動かそうにも、泥のように重く動かないことに息を吐いた。
陸「あっ・・・マネージャー、壮五さんが!」
紡「壮五さん・・・大丈夫ですか?」
「・・・マネージャーに、陸くん?」
僕が目を覚ました事に気が付いたマネージャーと陸くんが、瞳を揺らしながら僕の顔を覗いて瞬きを繰り返す。
紡「社長、壮五さんが」
小「壮五くん、気分はどうだい?」
そうか・・・あの時、僕は・・・
「ご心配お掛けしてすみませんでした・・・」
重く動かない体に力を入れてなんとか起き上がろうとすると、それは社長の手によって止められた。
小「まだ動いたりしたらダメだよ。ほら、あともう少しで終わるから」
視線を流す社長に合わせた方向を見れば、そこには僕に繋がれた点滴のスタンドがあって、ようやくここが病院である事を知らされる。
陸「社長。オレ、壮五さんを診てくれたドクターを呼んできます」
静まり返る廊下に陸くんの足音が響き、次第に遠ざかって行く。
小「陸くんから万理くんに連絡が来た時は、さすがに僕も驚いたよ・・・ごめんよ、こんな風に倒れるまで気付いてあげられなくて」
紡「社長のせいじゃありません。私が・・・私が壮五さんに甘えてMEZZO"のスケジュール管理を全てお任せしてしまったから・・・壮五さん、本当にすみませんでした」
ベッド脇で深々と頭を下げるマネージャーの姿に、チクリと胸が痛み、そうじゃないんだと伝えて目を閉じた。
「社長・・・僕は、大変な事をしてしまったんです・・・僕の・・・いえ、僕が全ての責任を取ります。だから、」
陸「社長、ドクターを呼んできました!」
みんなの全ての希望を壊してしまった理由を話そうとした瞬間、戻って来た陸くんの声に話を止めてしまう。
小「とりあえず、ちゃんと診て貰いなさい。話はその後でも出来るから」
「・・・はい」
社長を残してマネージャーと陸くんが1度部屋から出て行き、いくつかの問診の後に診察が始まって・・・
「点滴だけで入院しなくても大丈夫ですね。落ち着いたら帰宅しても大丈夫ですよ。点滴が終わる頃にナースを寄越しましょう」
小「分かりました、有難うございました」