第21章 ココロ、重ねて
僕が言うと、愛聖はそうだった!と笑って肩を竦めた。
龍「それじゃ部屋まではオレが連れてってあげるよ」
『え?』
龍「だって目が見えないから危な・・・あ・・・」
そこまで言って龍之介くんは愛聖を見て、それは撮影の時だったと恥ずかしがった。
百「龍・・・それだとオレも足が不自由になるんだけど?」
笑いながらもモモが言って片足をプラプラとさせれば、龍之介くんは笑い、片膝を着いて背中を貸しましょう!と笑った。
『龍って天然だと思ってたけど、本物だ』
大袈裟なくらいに肩を揺らして笑う愛聖に僕たちは揃って、お前が言うか!と笑えば、愛聖は自分は天然なんかじゃないし!と頬を膨らませた。
『でも折角だからエスコートして貰おっかな?』
よいしょ、と小さく言いながら愛聖が龍之介くんの背中へと体を預け、それが当たり前かのように龍之介くんは背中の重みを感じることも無く立ち上がった。
『うわ、思ったより高い・・・ちょっとストップ!なんか落ちそうで怖いかも・・・やっぱり降りる』
龍「そう?でも、こんな風に揺れても落ちなきゃ大丈夫だろ?だからしっかり捕まって?」
『ちょっ、龍!揺らさないで!クルクル回らないでぇ!』
大きな体で動く龍之介くんに愛聖が慌ててしがみつくのを見ると、それはまるで仲の良い兄妹がじゃれあっている様にも見え微かに口元を緩ませる。
・・・が、当然チリッと妬けもする。
「あぁ、ほら?いつまでもジャれてないで」
『ユキ、それもしかしてユキもやって欲しいの?なーんちゃって』
こっちの気も知らずに愛聖はそう言って龍之介君の背中で笑う。
龍「千さんも、ですか?じゃあ愛聖と交代で」
「なぜそうなるんだ、全く」
お父さん浮気!と騒ぎ出すモモの肩に手を置いて、それでもまだ龍之介くんの背から降りることの無い愛聖に、のんびりしてると遅れるぞと声を掛け僕は歩き出した。