第14章 心の行方
小声ながらも慌て出すミツに、シーッと指を立てる。
「後で説明するから、手伝ってくれ」
三「なにを?」
「このまま床に転がしとく訳には行かないだろ?ベッドまで運ぶから、毛布捲って用意してくれってこと」
三「・・・ここの?」
改めて聞くミツに、ひとつ頷きながら愛聖を抱えてゆっくりと立ち上がる。
前もこんな事があった時、次は容赦なく部屋に入るぞ?とは言ったものの、さすがにそれも出来ないだろ?と加えて言えば、一織なら容赦なくやりそうだけどな?なんて笑いながらミツが部屋に入って来た。
まぁ、イチならやるだろうけどな。
「・・・っこいしょ、っと」
出来るだけ静かに、そっとベッドに置いた所にミツが毛布を掛ける。
三「しっかし良く寝てるなぁ・・・」
「だよな。幾らなんでも無防備過ぎるっつーか?」
自分もさっきまでは無防備に寝てるし・・・なんて思ってた事をどこか遠くへやりながら言えば、ミツはオレの肩にポンッと手を置きながら愛聖とオレを交互に見る。
三「それだけ愛聖が大和さんの事を信用してるってことなんじゃねぇの?」
「またその話かよ」
三「またって?」
「あ、いや・・・さっきも愛聖が似たような事を言ってたんだ。みんながオレをリーダーとしてなんやらかんやら・・・っていうか、あれだ。その件については話すの、お兄さん恥ずかしいから。それより、ミツがオレを呼びに来たのって、ソウの事がなにか分かったのか?」
三「いや、そっちはまだなにも。けど、社長とマネージャーと陸が同行してるし、なにか分かれば連絡来るだろ。万理さんは連絡が来たら迎えにって感じで・・・それに、さっきの愛聖の事が気になってるみたいだし」
なるほどねぇ・・・
三「それから一織がコーヒー落としたからってのもあるけどな」
「それを早く言えっての!」
三「言おうとして呼びに来たんだろ」
あからさまに息を吐くミツに、はいはい・・・と返しながら、さっきの愛聖の事でみんなに話したい事もあるから行くか?と言ってミツとベッドに背を向ける。
朝まで起きなかったらオレはリビング行きだな・・・なんてひとり考えながら、まだ寝息を立てる愛聖を1度見て、ドアを閉めた。