第14章 心の行方
三「オレも殴っちゃうな」
あ、はは・・・それはそうかも。
環「褒めるって、難しい・・・」
『四葉さん、時間に正確なところ以外でも逢坂さんは凄いところあるんじゃないですか?』
ここで私がここだよ、あれだよと教えてしまうのは簡単だけど、それだと四葉さんが見つけた逢坂さんの褒められるポイントにはならない。
環「そーちゃんの、凄いところ・・・う~ん・・・掃除の鬼、とか・・・」
・・・・・・。
ナ「ドンマイ、タマキ。それでは、ワタシをお手本にして練習しましょう・・・レッツ トライ!」
普段から注意をされることがする多い為か、四葉さんが逢坂さんの褒めポイントについて悩み始めてしまい、代わりに目の前にいるナギさんなら・・・と本人自ら名乗り出る。
環「えっと・・・ナギっちは、喋り方ウケる」
そこ褒めるとこ?!
・・・と、思わずツッコミそうになるのをグッと堪える。
環「超ウケる」
ナ「ワタシの美貌、優雅さ・・・才能全てスルーで、それをチョイスですか・・・Oh・・・OK・・・」
環「あはは、それ!OKウケる」
ナ「シャラップ!」
う~ん・・・ナギさんの話し方は確かに独特ではあるけど、それはきっと海外出身者の方が日本語を話す時のイントネーションが独特なのと同じだと思うし。
困ったなぁ・・・
陸「壮五さんにそういうのって聞かないんじゃないかなぁ?あ、そうだ!なにかプレゼントしてみるってのはどう?お詫びの品みたいなさ?」
大「そうか?ソウは別にそれくらいじゃ感激しないと思うぞ?あいつの持ってるもの、さりげなく全部好き一級品だぜ?」
陸「そうなの?!全然分かんなかった・・・え、じゃあもしかして、この鞄も・・・?」
バタバタとミーティングルームのソファーに駆け寄り、七瀬さんがいつも持ち歩いているカバンをひょいっと持ち上げる。
一「七瀬さん、それは逢坂さんから貰ったんですか?」
陸「うん。前に壮五さんが使ってて、カッコイイなぁ・・・って言ったら、次の日に壮五さんが良かったらどうぞって、オレに」
そう簡単に誰かにあげてしまえるなら、そこまで高級品な感じじゃないのかも知れないけど・・・?
大「リク・・・お前それ、軽く10万くらいするやつだぞ・・・」
陸「ひぇっ!」
『えぇっ?!』
二階堂さんがチラリと見て、七瀬さんが手にしてる鞄の価値に驚く。