第14章 心の行方
大「タマ、どんな時でも最優先すべきは仕事だ。もし誘われた話が嘘でも、それが本当だったとしてもだ」
いつになく真剣な顔で言う二階堂さんを見た四葉さんが、私を見る。
私はそんな四葉さんの目を見て、何も言わずに頷いた。
環「・・・はい」
両膝を抱えていた四葉さんの手が、更にグッと力が入る。
大「それにな、タマ。たった1人にそうされたからって、ファンが全員そういう事を考えるって決めつけるな。みんなが応援してくれてるから、いまのオレたちがいる。それは、分かってるだろ?」
環「はい・・・」
応援してくれてる人がいるから、いまの自分たちがいる。
それはアイドリッシュセブンだけではなくて、私にも同じことが言える。
仕事がなくなって悲観していた頃も。
八乙女社長の元から消え去っていた頃も。
そして・・・今も。
途切れる事なく応援してくれてた人がいるからこその、今の自分だから。
そんな気持ちも込めて、四葉さんの肩にそっと手を置いた。
三「まぁさ、そういう事情だったんなら壮五も分かってくれるんじゃないのか?」
『逢坂さん・・・どこにいるんですか?』
ただひとり見当たらない姿を聞けば、一織さんが逢坂さんは寮に戻ってるようです、と教えてくれた。
環「そーちゃんの部屋に行ったけど、出て来てくんなかった」
大「あー、まぁ・・・日頃から蓄積されたモンが爆発したんだろうな」
困ったなぁ・・・と小さく呟く二階堂さんと目が合ってしまい、私も普段の四葉さんの行動を知っているから、ただ、苦笑を浮かべるしか出来ない。
環「俺が呼んでんの気付かないのかと思って、ドアをガンガン蹴っても出て来なかった」
大「おいおい・・・なんで火に油を注いでんの?」
そんな事をしたら、逢坂さんじゃなくても怒りそうだけど・・・?!
ナ「仕方ありまセンね・・・タマキとソウゴ・・・MEZZO"の仲直り作戦しまショウ」
三「ナギ、なんかいいアイディアでもあんのか?」
ナ「リップサービスです!タマキ、ソウゴを褒めてゴマすりましょう!・・・レッツ トライ!」
あ、あれ・・・?
なんか話の向きがおかしな方向に行ってる?!
環「褒めるって・・・えっと・・・そ、そーちゃん、いつも5分前行動してて偉いな!とか?」
大「大遅刻やらかした奴にそんなこと言われたら、お兄さんならブン殴っちゃうなぁ」