第14章 心の行方
と、思いきや?!
わっ・・・びっくりした・・・まさかこんな壁際で、大きな体を折り畳むようにして四葉さんがいるとは思わなかったよ。
陸「環が・・・ファンのこと嫌いだとか言うから、それで三月が怒ってて」
一「七瀬さん!」
私から視線を外しながら七瀬さんがぽつりと言った事に、一織さんが止めに入る。
『それって、ケンカしてたってこと?』
一「そういう訳ではありません。ただ・・・」
『・・・ただ?』
一「少し、複雑な事情があるようで」
それだけ言うと一織さんは、一瞬だけ四葉さんを見て口を閉ざしてしまった。
複雑な事情、か。
『四葉さん。私が聞いても大丈夫な事なら、教えてくれますか?』
まるで子供に話しかけるかのように床に座り込んでいる四葉さんの前に私もペタリと座り込み、目線を合わせる。
環「話したら、マリーは怒る?」
『内容にもよりますけど、今は怒ったりしないと約束します』
四葉さんの言葉にそう返すと、四葉さんは今日の出来事を少し躊躇いながらも話してくれた。
環「そしたら、そーちゃんはそれっきり俺がなにか言っても、謝っても・・・話してくれない」
『そうですか・・・だけど、四葉さんはちゃんと謝ったんでしよう?だったら、もう1回ちゃんと向き合って事情を話したら、逢坂さんも話を聞いてくれるんじゃないかな?それから、どうしてその声をかけて来たファンの事を嫌いになっちゃったかも教えてくれますか?』
ただ、ファンの子に話しかけられて・・・とかだけだったら、ちゃんとした理由にはならないし。
もしかしたら、それだけじゃ余計に逢坂さんを怒らせてしまうかも知れないから。
環「妹のことを知ってるって、声掛けられて・・・ついてったら、嘘だった・・・」
三「それならそうと最初にちゃんと言えよ!お前ほんっとに説明するの下手だな!」
ナ「oh・・・それで生放送遅刻しましたか」
嘆くナギさんと、声を上げる三月さんに、しぃーっと人差し指を口元に当てて見せて静かにさせる。
陸「でも、その理由はちょっとキツイよな・・・もし天にぃが行方不明になって同じ事を言われたら、オレだってついてっちゃうよ」
七瀬さんの言う通り、そういった事情がある人なら誰でも、四葉さんと同じ行動をするとは私も思う。
だけど、大事なのは・・・そうじゃなくて。