第14章 心の行方
千に散々と詰められたあと社長に迎えに来て貰って、ようやく事務所まで帰って来た。
千にはそのまま泊まれば?なんて言われたけど、翌日のRe:valeのスケジュールが早朝からだったし、何よりあのままいたら、もっといろいろ根掘り葉掘り聞かれそうだったから、何かと理由をつけて帰路へとついた。
小「お疲れ様、着いたよ?大丈夫?なんだか疲れてるみたいだけど、そんなに千くんのレッスンってハードなの?」
帰る道中ほとんど黙り込んだままでいた私に、社長が心配そうな顔を見せた。
『そういう訳じゃないんですけど、今日はちょっとレッスンよりハードな事があって。すみません社長・・・ただでさえ忙しいのに毎回送迎して貰って』
小「あー・・・さっき言ってたあれの事か。実は僕も岡崎くんから聞いたけど、Re:valeの2人は愛聖さんがイメージキャラクターに決まったって聞いたから乗り気で同じ仕事を受けてたらしいからねぇ」
『そうみたいです、私もそれを本人たちから聞かされました』
せっかく一緒に仕事出来ると思ったのに!と百ちゃんにはいじけられ、千は千で、自分たちも降りるとか言い出すし。
まったく・・・あの2人って。
小「いろいろ事情聴取が大変だったみたいだし、今なら寮まで送るよ?」
1度抜きかけたキーをまた挿そうとする社長に、大丈夫だと告げて手荷物を纏めて車を降りて事務所へと向かう。
小「じゃ、僕は万理くんと話すことがあるから僕の部屋に行くね。アイドリッシュセブンのみんなはミーティングルームにいるみたいだから顔出すといいよ」
『はい。ありがとうございました』
廊下で社長と別れてミーティングルームへと向かえば、ドアを開ける前に部屋の中がなんだか騒がしい。
環「今は嫌いだ・・・大っ嫌いだ!!」
・・・え?
ドアノブに手を伸ばしかけて、中から聞こえた四葉さんの叫びに思わず手を引っ込める。
いま、大っ嫌い・・・とか、聞こえたけど?!
平静を装いながら思い切ってドアを開けてみる。
『戻りました・・・皆さんどうしたんですか?なんだか大きな声が聞こえてましたけど・・・』
一「佐伯さん・・・あ、えっと・・・お帰りなさい」
『ただいまです。それでなにかあったんですか?』
言いながら部屋の様子を見れば、空気は重く、四葉さんの声はしていたけど姿は見当たらず・・・