第14章 心の行方
❁❁❁ 百side ❁❁❁
千「僕が先で次がモモね。じゃあ愛聖、言わないなら、遠慮なく」
マリーの向こう側に見えるユキが微かに笑って、打ち合わせ通りに・・・マリーを驚かせる。
そもそも事の発端は、おかりんから仕事終わりに聞いた話で。
マリーが、化粧品メーカーのイメージキャラクターを降板したって聞かされて。
あのCMは、実はオレたちRe:valeにも話が来てて、メインがマリーに決まったって知って、オレたちもその仕事を受けよう!ってユキとノリノリだった矢先の話だった。
契約書にサインまでして、後戻り出来ない状態なのに。
それなのにマリーは降板が決まってて。
スタッフさん達もメインがマリーだって喜んでたのに、絶対なにか変だとオレたちは踏んだ。
だからユキが、ちょうどレッスンでマリーが来るから、ひと芝居打って吐かせようって言ってさ。
でも、まさかユキがこんな風にマリーを追い詰めるとは思わなかったけど・・・
ギュッと抱きしめるマリーの体が、ユキが近付く度に逃れようと動く。
ユキの冗談っていうか、イタズラっていうか、そんなの分かってても・・・ユキってばズルい!!
・・・なんて、思ってたら。
『わ、分かった!話す!ちゃんと話すからストーップ!!』
マリーがあっさりと降参の白旗を振る。
千「残念・・・あとちょっとだったのに」
ユキ・・・もしかしてホントにキスするつもりだったの?!
『はぁ・・・びっくりした・・・』
脱力してオレにそのまま寄りかかるマリーの肩に顔を乗せてみる。
『百ちゃん、重い・・・』
「ちょっとだけサービス頂戴しまーす!」
『サービスって・・・なんの?』
「いや、なんとなくノリで」
なにそれ~!と笑い出すマリーにオレも笑い返しながら、そろそろちゃんとしないとユキが怒りだしそうだからと言って解放する。
千「じゃ、本題。僕たちにも分かるように説明して」
いつの間にかソファーに座ってるユキが、自分の隣をポンッと叩いてマリーを呼ぶ。
『分かった。けど、あくまでも仕方のない事ではあるから異議なしな方向で聞いてね?』
ユキとオレを交互に見るマリーの背中をそっと押して、ソファーへと進んだ。