第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
紡「みなさん、そろそろステージに移動しましょう」
他のスタッフから連絡を受けたマネージャーがオレ達を振り返る。
環「ヤマさん、いつものアレやろうぜ」
「あ~···アレ、ね」
って言うか、いつものって程やってないでしょうが。
陸「マネージャーも一緒に!···あ、そうだ。そう言えば愛聖さんはどこにいるんだろう?せっかくだから愛聖さんも一緒にって思ったんだけど」
そういや最終リハまではその辺にいたハズだけど···
「万理さん、愛聖は今日何かしらの担当とかしてんのか?さっきまでその辺にいたと思ったんだけど」
ソファーから立ち上がって万理さんに聞けば、万理さんは実は···と何かを言いかけた。
小「万理くん、その件については僕から説明するよ」
壮「もしかして···何かトラブルがあって、とかですか?」
小「違う違う。そうじゃなくてね、愛聖さんは会場のお客さん達と一緒にキミ達がステージに出てくるのを待ってるんだよ」
会場で、オレ達を待ってる?
一「私達がステージに出るまでを前座で繋いでくれてるって事ですか?」
ナ「なにも悪いコトしてないのにデスカ?」
三「ナギ、それは正座な、正座。愛聖がオレ達の前座とか、それはないだろ?」
また始まった···ま、それは置いといて。
「で、社長?さっきの···愛聖がオレ達がステージに出てくるのを待ってるってのは?」
小「それはね···彼女は今日、ちゃんとしたお客さんって事だよ」
「それってどういう?」
小「僕も万理くんもさっきまで知らなかったんだけど、彼女は君たちのチケットを自力で手に入れてたんだよ。発売日に時計を見ながらスマホ握りしめてたって」
万「アイドリッシュセブンのファンの子達と対等でありたいからって言ってたよ。自分もファンの子達と一緒に応援してるからって」
マジか···それを黙ってたってことか。
「なんか、その···アレだな」
ボソボソと呟きながら、そっと片手で顔を隠す。
環「ヤマさん、照れてる?」
「違うっつの!」
···照れてるよ、今世紀最大にな。
そういうのって、普通に嬉しくて照れるだろうが。
ったく、愛聖のやつ···やってくれる。
「じゃ、アレ···やるか!」