第6章 BLESSED RAIN
『スーパーアイドルRe:vale、まさかの···』
「違うから」
微妙な週刊誌の見出しみたいなのを呟く愛聖に、コラ、と笑って、まだ騒いでいるモモにも軽く制裁をお見舞いした。
「それより、帰るなら時間は大丈夫?僕としては愛聖を一晩中抱きしめて眠れるから、泊まってくれた方がいいのに」
『遅くなってもちゃんと帰るって社長と約束してるし。それに今夜はモフモフの王様プリンのぬいぐるみを抱きしめて眠りたい気分だから』
百「王様プリンのぬいぐるみ?」
『うん!この前、一緒に生活してる四葉さんが同じの2つあるからって、ひとつ譲ってくれたんだぁ···ふわふわでモフモフ···最高の抱き心地なの』
「それをくれたのって、男?」
『そうだけど?あの寮に女は私しかいないし、それに四葉さんって私より幾つか年下の高校生で口下手だけど、素直でかわいいって思えちゃう所もあって。つい昨日もおやつに王様プリン買っといたら、マリーありがとう!!って、ギューって!あ···なんか千、怒ってる??』
「ちょっとだけ、妬いてる」
『え、なんで?』
なんでって、ねぇ。
僕の知らない所で愛聖が他の男に抱きしめられてると思うと、ちょっと···イラつく。
百「オレ以外にもマリーって呼ばせてんの?ズルい!」
『自己紹介の後に自然とそうなってたっていうか。あとは佐伯さんとか、愛聖さんとか、愛聖とか。あ、もう1人私をマリーって呼んでくれる人もいるよ?ハーフの、凄く顔立ちのキレイな人。その人もハーフだからなのかスキンシップやボディタッチ多くて最初は戸惑ったけど、今は慣れたっていうか』
スキンシップやボディタッチに慣れるなよ···そう思うと、そんなオオカミだらけの場所へ愛聖を返したくなくなるだろ。
『いつか、彼らと一緒に仕事をする事があったら千も仲良く出来ると思うよ?』
「別に僕はいい。そういうのモモ担当」
『出た出た、千の人見知り』
もぅ!ホントにみんないい人なんだから!と頬を膨らませる愛聖に、僕は愛聖が···僕の知らない場所で楽しそうに過ごす姿を想像して眉を寄せる。
「ホントは、僕が独り占めしたいのにお仕置きだよ」
小さく言って、膨らませた頬にキスを押し当てた。