第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 一織side ❁❁❁
レッスン場に社長と大神さん、それからマネージャーが荷物を抱えて来たと思ったら、それは私たちの新しい衣装だと手渡されて。
小「サイズ間違いは大丈夫だと思うけど試着してみて?」
万「ちょっと位なら、俺でも直せるから遠慮なく言ってね?」
とは言われたものの。
さすがにきちんとしたプロダクションとの契約もあるから、手直しなど必要ないサイズで、メンバーも何不自由なく着こなせていた。
環「なぁ、バンちゃん?」
万「なにか気になる所でも見つかった?」
環「そうじゃねぇけど、コレってマリーに写メ送ってもいいヤツ?新しい衣装、早くマリーにも見せたい」
陸「それいいな!愛聖さん、オレたちが少しでもライヴの準備が出来るようにって言って、掃除とかいろいろやってくれてたし!」
確かにそれはそうですが。
「四葉さん、七瀬さん。彼女には当日までのお楽しみにしておくのが得策だと思いますが」
陸「なんで?あんなに掃除当番とか買い出し当番とか代わってくれてたんだし、早く見せたいじゃん?」
私が会話の間に入ると、七瀬さんがムッとしながらそう返してくる。
「見せないとは言ってません。あくまでも当日までのお楽しみ···と言ってるんです。それに、佐伯さんだって忙しいんですから、代わって貰っている当番の時間、それから仕事の時間以外は自由時間が必要でしょう」
そもそもここには、彼女以外は全員···性別の違う人間ばかりが同居してるんです。
マネージャーは同性ではありますが、同居している訳ではないですし。
大「自由時間ねぇ···そういや万理さん、愛聖は今日どこに出掛けてんだ?夕方から姿見てないし、夕飯もいらないとか···またいつもの秘密の外泊ってヤツ?」
ニヤリと小さく笑いながら二階堂さんが大神さんの顔を見る。
万「あー···うん、まぁ、そのうち帰って来るよ。行き先は知ってるけど、そこは食事の心配はいらない所だし···遅くなるようだったら社長に連絡あるだろうから」
小「そうだねぇ、迎えが必要なら僕が行けばいいだけだから」
「社長が、ですか?大神さんではなく?」
大概の迎えはいつも大神さんが行っているのに、今日に限っては社長が?
彼女は一体、どこへ出掛けてるんでしょう?
時に、謎の多い人だ···