第6章 BLESSED RAIN
百「···ってなワケ」
『そうだったんだ?私てっきり、千と百ちゃんはそこまで仲良しなんだと思って』
仮にそうだとしたら、それはそれでビックリはするけど。
千「モモのあの慌てようって言ったら···プッ···」
百「もう!ユキはマリーが入って来るの知っててワザとやってたんでしょ?!」
『千のイタズラは今に始まったことじゃないし、許してあげて?あと千もいい加減に髪乾かして服着ないと風邪ひく!天下のスーパーアイドルが八百屋さんみたいなガラガラ声で歌うなんて、シャレにならないからね』
キッチンで手を洗いながら言えば、それもそうだね!と笑って、変な汗かいたからシャワー借りる!と千からタオルを奪ってシャワールームへと行ってしまった。
『あのタオル、千が使ってたやつだよね?』
千「ま、いつもの事だから僕は平気。逆の立場ならお断りするけどね」
···でしょうね。
それより···と言いながら千が立ち上がり、1度寝室へ行き、一通の封筒を持って戻って来た。
千「モモがいると騒ぎそうだから、今のうちに···折笠 愛聖さん?」
『だからゴメンってば···』
封筒を受け取り、そっとカバンの中にしまう。
千「その中身だけど。一応、聞いてもいい?」
『チケット、だよ』
千「だろうね。それ関係の会社名が印刷された封筒なんだから。で、誰の?」
『アイドリッシュセブン···です!』
元気よくピースサインを向けながら言えば、千はキョトンとした顔を見せて、その後ちいさく息を吐いた。
千「同じ事務所···じゃなかったっけ?」
『そうだよ?だけど、みんなの大事なライヴだったから、どうしても自分でチケット取りたくて。でも発送先を聞かれた時に、寮に届いたらバレちゃうし···とか』
千「あぁ、なるほどね。それで僕の家に発送先指定にした訳だ」
『そうなの。住所借りちゃったし、千には連絡しなきゃって思ってたんだけど···チケット取れた嬉しさに忘れちゃった』
千「初めは何かと思ったけど、そういう事なら仕方ないね。今回のは貸しにしといてあげるよ」
貸し···その借りはめっちゃ怖いけど。
なにで返せばいいんだろうかとハラハラするし!
千「さ、そろそろモモがシャワーから出てくるから、愛聖はコーヒーでも入れてくれる?」