第6章 BLESSED RAIN
監督と社長から離れ、ひとり控え室へと戻る。
帰り支度と言っても、これといって別に手間が掛かる様な事はなく、すぐに支度は出来てしまった。
社長の戻りを待っている間、手持ち無沙汰だな···とカバンからスマホを出せば、そこには千からのラビチャのメッセージが届いていた。
なんだろう?とメッセージを開けば···
“ 愛聖はいつの間にか、僕のお嫁さんになってたんだね?僕はいつでも大歓迎だけど ”
っていう、千らしい含みを持ったメッセージと封筒の写メが送られて来てた。
封筒の宛先には···
〖 折笠 愛聖 様 〗
···あっ!そうだった!!
アイドリッシュセブンのライヴのチケット、寮に配送されたら困るなって思って千の家の住所にしたんだった!
届くのはもう少し先だと思ってたから、まだ千には話してなかったんだった···
ラビチャに写メが載ってるってことは、千はもう家にいるってことだよね?
私も仕事自体は終わってて、後は社長が戻るのを待つだけだから···直電した方が早いかも。
アドレスから千の番号を開き、電話をかける。
もしかしたら仕事部屋にいるかも知れないから、5コールだけ待ってみて、あまり長く鳴らすのはやめとこう。
そう思ったのも束の間、3コールと待たずに千が電話に出た。
千 ー やぁ、僕の可愛い奥さん? ー
···出だしからそう来たか。
『えっと、千?さっきのラビチャの事だけど···』
千 ー あぁ、あれね?その話は長くなりそうだから、直接聞くよ。それで、どうする?僕が届けてあげてもいいけど、お礼は愛聖からの熱いキスにして貰おうか ー
『と、取りに行きますから自分で!!』
千 ー フフッ···即答でそう来たか、残念。で、いつ取りに来る?今夜泊まりがけで来る? ー
『今夜は泊まりません。そして仕事終わったばかりだから、今日は行けないよ?いま社長が打ち合わせしてるのを待ってるから』
千 ー 場所どこ?迎えに行くよ? ー
『大丈夫。それに千に迎えに来て貰って、社長1人で帰らせる訳に行かないでしょ?だから、また連絡するから』
あれ?···いま千は迎えに行くよって言った?
普段なら、百ちゃんと待ってる···っていうよね?
今日はもしかして、百ちゃんとは別行動?