第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 千side ❁❁❁
マンションの駐車場に車を停めて、連絡扉を押し開けてエントランスへと歩く。
いつもの様にポストをチラ見すれば、中に派手な封筒の郵便物が入っているのが見えた。
勧誘系の物か?と思いながらも、入れっぱなしにするにはどうなんだと自嘲して、ポストに付けられた鍵に番号を入力して行く。
ここのロック番号は···愛聖の誕生日、と。
絶対忘れる事のない番号じゃないと、何かの時に困るからね。
中から封筒を取り出せば、宛名には。
「折笠···愛聖、様?」
···愛聖はいつの間に、僕と同じ苗字になったんだ?
まぁ、僕は別にそれでも構わないけど。
差出人を確認すれば、それはイベントのチケットなんかを発送する会社名が印刷されている。
へぇ···これは興味深いな。
自分の住まいには届けたくない、同居状態の人にも知られたくない郵便物···となれば、僕じゃなくても中身はどんな物が入っているんだろうと気になるだろう。
もし今ここにモモがいたら、きっと大騒ぎするなと笑いを浮かべながら、チャリ···と鍵を握りエレベーターホールへと歩き出した。
部屋に入り、手荷物を片付けてから漸くスマホを開く。
簡単なメッセージを打ち込み、愛聖へとラビチャを送信して、封筒を写メって添付もした。
確か今日はCM撮影があるって聞いてるから、返事はすぐには来ないだろうとスマホをテーブルに置き、観葉植物の水やりや、部屋の掃除を始めた。
···トップアイドルと呼ばれてるRe:valeのメンバーが、まさか普通に掃除をしてるなんて誰が想像するだろう。
そんなことを思いながら、少しずつキレイになっていく部屋に居心地の良さを感じていく。
モモの部屋も、そろそろ押しかけて掃除しないと。
きっとまた、前回同様···散らかり放題になってるだろうからね。
ま、それなら僕が掃除してあげればいいだけの事だから。
その時はぜひ、愛聖も呼び寄せよう。
そうすればモモだって、少しは片付けが出来るようになるかも知れないから。
愛聖···散らかってると黙々と片付け出すから。
それがまた万にそっくりで···いや、愛聖の方が怖さは上、かな?
そんな2人を思い浮かべて比べながら、小さく笑った。