第6章 BLESSED RAIN
楽「お前···あぁいう年増がタイプなのか?」
『タイプって、何が?別に応急処置して貰っただけだよ?それに、八乙女社長だって結構前だけど履きなれない靴を履いてた時にマッサージとかしてくれたし』
楽「親父がかっ?!」
「あの社長が?!あ、いや···アハハ」
あのウチの社長が、そんな事するとは思わなかったよ。
『ま、いいじゃない。それより龍?この後の撮影は···』
愛聖がオレに手招きをして、耳を貸せと背伸びをする。
『とびっきりのエロエロビーストオーラでリードしてね?龍とのCMは深夜枠だから、すっごいの期待してるって監督が言ってたよ』
「なっ···」
なんだよ、それ。
エロエロビーストオーラですっごいので深夜枠って···
オレはそういうイメージで扱われてるけど、愛聖はそうじゃないだろ?
っていうか、すっごいの···って、言われてもだな。
頭の中で勝手にオレ達が動き回り、その浮かんだイメージに翻弄されて···片手で顔を隠す。
天「龍···自分で想像して恥ずかしがらないで。見てるこっちまで恥ずかしくなる」
楽「いったい龍は愛聖でどんな想像してんだよ」
「···ちゃんぐとぅーくとぅを想像してたかねぇんて、くまで言えるわけないやっさーろ···」
『えっと、なに?』
あ、ヤバい···つい向こうの言葉が···
「なんでもないよ。ほら、そろそろスタンバイしなきゃだから行こうか」
それ以上、楽や天に追求されるのを逃れるように愛聖の肩に手を回し歩き出す。
「そう言えばセリフが全くないって言ってたよな?それって難しそうだけど···」
監督から説明された内容を思い出し、表現力だけでって言われても···と付け加えた。
『小道具たくさん置いてあるし、何とかなるんじゃない?例えばほら、テーブルにセットされてるワインに見立てたジュースとか?必要なら、私にかけちゃったりしてもいいけど?』
「そんな乱暴なマネはしないって。でもまぁ、何かに役立つかもな。どれをどう使うかは愛聖に任せるよ。CM撮影ってオレ達より愛聖の方が慣れてるし」
な?と言いながら頭に手を置いて笑えば、流れに任せてお互い頑張りましょうか?と愛聖が笑った。
「お、来たな2人とも!十くん、期待してるよ?」