第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
もうこんな時間か。
何気なく見た時計は、もうすぐ一織達が帰って来るような時間を示していた。
今日は朝飯の後から愛聖が仕事で社長と出掛けて行ったから、普段は愛聖がやってくれてる家事を壮五と分担してこなしてた···けど。
こんなにやる事たくさんあったか?!ってくらい、掃除やら何やらいっぱいで。
結局は、一織と環の学校組以外のメンバーを引っ張り出してみんなに割り振った。
陸は、埃とは接触のない洗濯物を頼んだ。
愛聖が寮に来る前は、そんなに大変だとは思ってなかった家事だけど、意外と···やる事があるなぁ。
オレらは学校組が帰って来てからがレッスンの本腰だけど、愛聖は朝から夜まで気が付けはどこかしらを掃除したり片付けたりしていて。
オレ達が不自由なく、いつもピカピカに掃除された部屋で過ごしてる。
そう考えると、愛聖···スゲーな。
大半を1人でこなしてるって事だろ?!
それが終わって夕飯食べてから、自分の自主的レッスンだとか言ってレッスン場に行って。
最後の仕事に風呂掃除までして。
前に風呂掃除をしてるのを見た事あるけど、最後の最後に水滴まで拭きあげてたよなぁ···
···料理に関しては、お世辞にも褒めてやれない部分があるけどな。
ま、そこはオレがやればいいことだから、いいとして。
ポジティブで、頑張り屋なんだな。
オレも···そういう所は見習わないとだ。
他のメンバーに比べたら歌も上手くないし、ダンスだって出遅れてる。
失敗する度にヘコんで、本当は···アイドルなんて向いてないのかも知れないとか、またヘコんで。
やっぱり、おとなしく家業を継いで···いやいやいやいやいや。
違う。
オレは···オレは絶対、ゼロみたいになりたいんだ!
愛聖だって子供の頃から女優を目指して頑張ってたって聞いた。
どんなに大変でも、自分の夢を叶える為だと思って耐えたって言ってた。
夢を叶えた後、その夢が途切れてしまうような事があったみたいだけど、それでも今はちゃんと仕事も出来てて、今日みたいに撮影があるって頑張ってる。
だから、オレも···絶対に諦めたりしたくない。
ポケットからスマホを出して、こないだコスプレさせた写メを眺めてみる。