第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
龍「さすが天と愛聖の組み合わせだな。リハなしで1発オッケーとかさ?あ、でも最後のキスってカメラ止まった後だったような?」
「どうせまた、天の気まぐれだろ」
天はさっき、わざわざ俺に自分と愛聖の組み合わせはNGなんて出さないから、すぐに順番を回すよとか言いに来やがった。
そして有言実行とか、嫌味か。
天「お疲れ様」
ローブを纏った天が俺達の所に来てイスに腰掛ける。
天「監督から伝言、愛聖の為に休憩いれるって」
「愛聖の為にって、随分偉くなったんだな。いつの間に大女優並の扱いされてんだか」
天「楽や龍の為でもあるよ」
「なんでそうなる」
ただでさえ待ち時間があるってのに、それがなんで俺や龍の為なんだよ。
天「スケジュール考えてみて。今回の強行撮影はボク達TRIGGERの都合が最優先されてる。それはマネージャーがゴリ押ししたのもあるけど、監督はそれを飲む交換条件として、ボク達がひとり撮影が終わるごとに愛聖に休憩時間を入れてもいいんなら···って話を聞いたけど?」
龍「そうだよな···オレ達は1人ずつだけど、愛聖は1人で3人分だもんな。気持ちの切り替えとか、頭の中の切り替えの時間は必要だよな。オレちょっと愛聖に飲み物でも届けてくるよ」
「待った!次は俺の撮影の番だから、その役目は俺が行く」
次の相手役と話したりする方が、イメージが湧くだろうから。
天「待った。楽はまだ行かない方がいい」
「なんでだよ」
天「楽は、行かない方がいい。愛聖の事をちゃんと考えてあげるなら、その方が」
イスから立ち上がりかけた俺の前に立ち、天が行く手を阻む。
天「きっと、楽のターンは···厳しいかも知れないから、今は···行かない方がいい」
「だから、どうしてだって聞いてるんだよ」
一度上げた腰をまた落ち着かせ、天を見据える。
天「忘れたの?···自分が愛聖に、なにをしたのか」
龍「天!···気にするな楽、愛聖ならきっと大丈夫だから」
クソ···天のヤツ、人の傷口に塩を塗り込むどころか、シャベルで抉って来やがった。
半ば不貞腐れるように顔を背け、配られたドリンクに口を付けた。