第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 天side ❁❁❁
「では、ストーリーはこの流れでお願いします」
「分かりました。よろしくお願いします」
いよいよ愛聖とのCM撮影が始まった。
ボク達3人は、それぞれ違うデザインの下着のイメージに合わせて作られたストーリー性のある撮影をする。
その内容も彼シャツのイメージで構成されていて。
ボクは、恋人達の甘い朝を。
楽は、少しオトナの恋人達の休日を。
龍は、まぁ···昼間に流せるんだろうかという内容だけれど。
発売前に貼り出されるポスターのスチール撮影も同時に行なうっていう強行日程には驚いたけど。
それもTRIGGERのスケジュールの都合を優先したウチのマネージャーのゴリ押しがあったって言うのもチラホラと聞こえてくる。
ボク達は自分達の1種類を撮るだけだけど、そう考えると愛聖は今日だけで3パターンこなさないといけないんだから、ある意味ボク達よりも忙しい。
それなのに、スタッフへの気遣いも忘れずにしていて。
ウチの事務所にいた頃からの顔見知りのスタッフもいるから、それなりにウケもいいみたいだ。
『天、今日はよろしくお願いします。なるべくミスらないように頑張るから』
「愛聖がミスるなんて、そうそうないんじゃない?むしろ、心配なのは龍の方」
『龍?なんで?』
「見れば分かるよ。早くもテンパってるみたいだからね」
スッと目線を動かして龍の方を見せれば、それを見て愛聖が肩を竦めた。
『龍との撮影は、私も緊張するなぁ。だって、セクシーさを全面に出して下さいって言われても、龍は何もしなくても醸し出せるかもだけど、私ってそういうのどこかに置き忘れちゃってるみたいだし』
「シルクのローブ姿で言うセリフ?」
ため息をつきながら言えば、愛聖はだって···と続けた。
『セクシーを全面にって言うなら、私よりも適役なタレントさんとか、たくさんいるのに···』
「いいんじゃない?ギャップを作れば。今までそんなの全面に出すような仕事なかったでしょ。移籍して最初の大仕事なんだから、命削りなよ」
愛聖本人は気が付いてないだろうけど、今のその格好だって···充分にそれが押し出されてるんだから。
ま、本人が分かってないからボクも教えてあげないけどね。