第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
さっきの、なんだったんだろう。
なんかモヤモヤして、スッキリとしない自分がいる。
あの体制で出た、愛聖のあの言葉。
なんでもないからと愛聖は言ってたけど、それでも···多種多様な事を考えてしまう。
それに加えて、少し前までの愛聖の事も。
確か大和くん達が、愛聖の様子が変だ···って言ってたことがあった。
いつだったっけ···と思い返して、ひとつの答えに行き着く。
社長公認でTRIGGERの···まさにその人物と食事をした翌日だ。
あの日、俺が事務所で仕事をしてたら大和くんが通りかかって···
大「あ、万理さん···もしかしてだけど、昨日···愛聖とケンカでもした?」
「俺が?特に何もないけど···どうして?」
俺がそう答えると、大和くんはちょっと考えてから、今朝から愛聖の様子が変だったから···と言っていた。
「変って、例えばどんな?」
大「例えばっていうか、今朝は朝食も食べずに部屋に閉じこもってたし、昨夜は帰って来てから妙によそよそしいって言うか···」
「よそよそしい?」
大「まぁ、ナギのボディタッチ多めのスキンシップは日常茶飯事だけど、いつもの愛聖なら抱きつかれようが至近距離で見つめられようが軽く交わすのに、なんだかサッと避けたり目を逸らしたり···ってとこかな。あと、必要以外は部屋から出てこないとか···ソウは気にしてソワソワするし、リクはあからさまに心配してっし、だから万理さんとケンカでもして落ち込んでるんじゃないかと」
その時は、俺はケンカなんてしてないし、たまたま機嫌が悪いとかじゃないって言ったんだけど。
そう言われて考え直して見れば、愛聖は俺と顔を合わした時になにか言いたげだったような···?
あまり、考えたくはない事だけど···
もし、その食事の時···もしくはその後になにかあったんだとしたら。
まさかあの八乙女社長の息子が奇行に走るわけ、ない···よな?
いや、待て?
その息子と食事をしたのに、どうして寮に送って来たのがTRIGGERの十くんだったんだ?
翌朝に顔を合わせた時に、電話くれたら迎えに行ったのにと俺が言ったら···確か···