第6章 BLESSED RAIN
万「一織くんも愛聖も、ケガはない?」
脚立を直しながら万理が私達を見る。
私は一織さんが抱き留めててくれて、その一織さんは万理が運んで来た荷物がクッションになって無事···と言えば、無事だけど···でも···
『一織さんゴメンね?私いま事故とはいえ···その···』
一「それ以上何も言わないで下さい」
フイッと横を向かれてしまい、微妙な空気になるのと同時に、バタバタと足音が近付いて来た。
大「いま凄い音したけど何があったんだ?」
ナギさんの部屋から二階堂さん達が飛び出してきて、私達の所まで駆け付ける。
環「ヤマさん···いおりんがマリーと、キスした」
大「はぁっ?!」
一「違います!事故ですよ、事故!四葉さんも微妙な所だけ切り取って報告しないで下さい!私はともかく、佐伯さんに失礼でしょう!!」
やっぱり、怒るよね···事故だとは言っても、あんなの。
私は、まぁ···慣れてるって言ってしまえば、それまでなんだけど。
『一織さん、私だったら大丈夫だから。ほら、ドラマとかでいろんな人とそういうのあって慣れてるから』
ごまかすように言えば、一織さんは無言になり、代わりに二階堂さんがニヤリと笑って私達を交互に見る。
大「へぇ~、愛聖はいろんな人とそういう事してんだ?」
『二階堂さんこそ、この前ナギさんの部屋でお酒飲みながらアニメ見た後に、心寂しいから気が落ち着くまでハグさせろって言い寄って来ましたよね?!」
環「ヤマさんがマリーとハグ?!マジで?!」
大「おーい?!それは内緒にしろって言っただろうが!」
ナ「マリー、それは本当デスカ?」
『本当です。あの時は確か、二階堂さんは少し酔った感じでナギさんと一緒にまじこなを見てたけど、なんかちょっとシリアスで寂しい終わり方だった、とか』
ちょうどお風呂から出て部屋に戻るところで二階堂さんと遭遇して、そんな事を言われて丁重にお断りしたんだし。
一「はぁ···佐伯さん、降りてください」
『あっ、ご、ごめんなさい一織さん』
一織さんに言われて、そこで初めて一織さんに乗っかったままだと言うことに気付き慌てて飛び退いた。
三「あ、おい?どこ行くんだ一織?」
「部屋で着替えて来るだけです。この後レッスンがありますから」