第6章 BLESSED RAIN
ここまでの事情を説明すれば、一織さんはあからさまな顔を見せ···予想通り、怒り出した。
一「そこまで考えるなら、大神さんにお願いする事も出来たでしょう?!あなたバカなんですか?」
うっ···七瀬さんが一織さんからよく言われているのは聞いてるけど、実際に自分が言われると···結構堪える···
『···そんなに怒らなくても』
「怒るに決まってるでしょう!私達がアイドル活動をしてるのと同じ様に、あなたも小鳥遊プロダクションに所属する女優ですよ?尚更、顔にケガでもしたらどうするんですか!」
つい、漏れてしまった言葉に対してさえも一織さんは
こんな感じで。
正論を並べられてしまうと言い訳も出来ず、ずんずんと落ち込んでしまう。
やっぱり私、一織さんには嫌われてるのかも。
そう思うと、更に落ち込んでしまう。
一織さんに助けを求めるのは諦めて、四葉さんに私の部屋からスマホを取ってきて貰おうかと考え出した頃、三月さんが帰って来た。
シュンとする私と、まだ小言を繋げる一織さんを見比べて、三月さんはどうしたんだ?と首を傾げた。
さっきと同じ用に説明すれば、三月さんはそんな事か?と笑い、自分が帰るまで待ってればいいのにと更に笑った。
三「ほれ、足が竦むほど耐えてたんなら降りて来いって、オレが取り替えてやっから」
三月さん!
いま三月さんが後光に包まれているのが私には見えます!!
助かった···と安堵の息を吐き、ようやくこの怖さから解放される!と思ったのも束の間で、握っていた蛍光灯を三月さんに渡してしまうと、やはり降りるに降りられず···
一織さん達の予想を超えた時間、脚立の上にいた事を一織さんにまた怒られてしまい···悲しいやら、情けないやら、そしてやっぱりで怖いのが1番で堪えていた物がホロりと落ちて行く。
三月さんや四葉さんが手を貸してくれると言っても、私自身が捕まっている脚立から手を離すのが怖くてどうにもならない。
一「困った人ですね。自分で降りれないなら、私がそこまで登って手を貸します。分かりましたか?」
大きなため息を吐いて、一織さんが私を見上げながら制服のジャケットを脱ぎ、シャツの袖を捲り、ネクタイまで緩めボタンをいくつかのボタンを開けながら脚立に手をかけた。
う、うそでしょ···
ミシッと音を立てる脚立が、振動で揺れる。
