第6章 BLESSED RAIN
とりあえずは、玄関を掃き掃除して、それから···と考えながら廊下に出る。
シューズボックスに出されたままの靴を片付け、掃き掃除をしていると、チカチカと玄関の中の蛍光灯がおかしな点滅を始めた。
もしかして、蛍光灯切れかかってるの?
私でも取り替える事は出来そうだけど···脚立使わないとだし···高さ、大丈夫かな?
前に一織さんのベッドで寝かされてた時も、降りる時に下を見ちゃって腰が引けちゃったし。
逢坂さんと七瀬さんはレッスン場のお掃除をしてくれてるし、二階堂さんは結局ナギさんに連れられてアニメを見てるし···三月さんはさっき買い物に出掛けて行ったから、他に頼める人はいまはいない。
···あ。
下を見ないようにすれば、なんとかなるかも??
脚立に登っても、蛍光灯を取り替える作業は上を見てやるし、だったら大丈夫じゃん!
そうと決まれば、行動は素早く手際よく!が八乙女社長からいつも言われてた事だし、こういう時こそ、みんなが快適に過ごす為には早く取り替えておいた方がいいよね!
倉庫から脚立を持ち出し設置してから、同じように倉庫に保管されてる蛍光灯を1本持って来た。
ポケットの中のスマホは、もし落としたりしたら大変だから部屋に置きに戻って···腕まくりをして、大きく深呼吸もして。
『よし···まずは登ろう』
ギュッと蛍光灯を握り締め、怖々と脚立に足をかけて一段ずつ登って行く。
半分まで来ると脚立がミシッと音を立て、その音にビビりながらも、登る。
頂上まで来て、下を見ないようにゆっくりと跨り小脇に蛍光灯を挟んで点滅する方の蛍光灯に手を伸ばせば、予想以上に埃が溜まっていて、動いた空気によって舞い上がり、吸い込まないように咄嗟に顔を伏せた。
···までは良かった、んだけど。
どう、しよう·········下、見ちゃった···
ひゅうっと体の芯から熱がなくなっていく感覚に目の前が暗くなる。
こ、怖い···んだけど。
両手で脚立に捕まろうとしても、片手に握った蛍光灯があるから···それも出来ない。
なんとか自力で降りようと試みるも、少し体を動かしただけでミシッと音が鳴る事に余計に怖さが上回ってしまって、どうにもならない。
そうだ!
ちょっと恥ずかしいけど、万理に電話して助けてって言ったら来てくれないかな?!
