第6章 BLESSED RAIN
自室に戻ってからは、雑誌を読んだり、今後のスケジュールの流れをチェックしながらのんびりと過ごす。
スケジュールチェックって言っても、私にはまだ仕事はひとつしか入っていないから大したチェックはないんだけれども。
殆どが白いままのスケジュール帳を眺めながら、もっともっと···寝る暇もないくらい仕事が入らないと、小鳥遊社長に拾って貰った恩返しが出来ないな、なんてため息を吐く。
どうやったら、たくさん仕事が貰えるようになるんだろう。
やっぱり、片っ端からオーディションを受けてみるしかないかなぁ。
本当の意味で新人の頃は、そういった経験を積みながらも、八乙女社長にふるいにかけられて残った仕事を与えられて···だったから、それこそ仕事がなくて困るなんて事はなかった。
けど、いろいろあって···それも長くは続かなかったのは、自分でも分かってる。
やっぱり、自分でも売り込みかけないとダメかも知れない。
社長は、いまは仕事に都合をつけながら私の同行者を担当してくれてるけど、いつまでもそういう訳にも行かないだろうし。
紡ちゃんには、アイドリッシュセブンのマネージメントがある。
かと言って、万理には···頼めない。
他にいる事務員さんも、社長が声を掛けたら快く引き受けてはくれるだろうけど、現場仕事の経験がなかったら···やっぱり、事務所の仕事との掛け持ちは大変だから迷惑を掛けてしまうだろう。
私だけでも出来る、自分の売り込み···何があるだろうか。
顔見知りのプロデューサーに···お仕事ありませんか?とか?
そこまで考えて、あの夜の事が頭を掠めていく。
全てのプロデューサーさん達がそうではないだろうけど、もし今、仕事の話があるから1人で来いと呼び出されたら···正直、怖くて行けない。
社長は、そんな呼び出しがあっても絶対に1人で考え込まない事!と私に約束をさせた。
それは私自身の事を思っての事だから、その約束を裏切る事はしたくない。
何より私が、何もなかったとはいえ···あの夜の事は私の黒歴史だと封印したいんだから。
まだまだ···頑張らなきゃなぁ···
頑張れ自分!
パンっと両頬を叩いて気合いを入れる。
部屋に閉じこもってるから、変な事ばかり考えちゃうんだ、きっと!
やっぱり、まだ手を付けてない場所を掃除しよう。
