• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第6章 BLESSED RAIN


龍と簡単な会話を交わして、あくまでも帰る “ フリ ” をした。

この部屋のドアは外開きだから、ドアが開いたら···あとはどうにでもなる。

ドアの横の壁に背中を預けて、どれくらい経ったのだろうか。

静かな部屋に、ドアの向こうで人が動く気配がして···やがて小さな音を立てながらそのドアが開き、楽が姿を見せた。

楽「龍···お前、愛聖を送って行ったんじゃなかったのか?」

龍「あ、まぁ···その予定ではあるんだけど、ちょっと事情があって···アハハ···」

楽「事情?」

もごもごと言葉を並べる龍を楽が一瞬、目を離した。

『龍!私がいいって言うまでドア押さえてて』

楽「なっ、お、お前まだいたのか!」

狼狽える楽の体をもう一度部屋に押し込みながら、私も部屋に押し入る。

龍に合図を送りドアを閉めると、楽の体をグイグイと押しながらベッドに腰掛けさせ正面に立った。

楽「お、前···」

『楽。私はちゃんと···楽と話がしたい』

バツの悪そうな顔をして横を向いている楽に、私は笑いかけた。

『さっき、楽は後悔のど真ん中にいるって···言ってたよね?それって、どうして?』

楽「どうしてって、それはお前を、傷···付けたから、だ」

『傷付けたって?』

楽「だからそれは···これ以上、言わせるなよ···」

確かに、さっきは初めて見る楽を怖いと感じた。

けど、いま私の目の前にいるのは、そんな楽じゃなくて。

『あのね、楽。さっきはちょっと、ビックリしちゃったって言うか、ちょっと怖かったって言うのは本当だけど。でも、大丈夫!結果的には何もなかったんだし···それに、後悔してるとか言われると、それはそれでなんか悲しい』

楽「···は?お前、自分でなに言ってるか分かってん、」

『分かってるよ。だけど、私が何もなかったって思ってるんだから···それでいい。狼に噛まれたとでも、思っとくから』

楽「狼に噛まれたら、死ぬぞ」

『アハハ···そうかも。でも、私はちゃんと生きてるから結果オーライなんじゃない?···ね?』

楽「俺は···そんな軽い気持ちであんな事をしたんじゃない。確かに酒の影響はあったかも知れないし、けど、」

グッと握った楽の手が、膝の上で微かに震え出す。

『あぁ、もう!分かった、分かりました!』













/ 1350ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp