第6章 BLESSED RAIN
❁❁❁ 天side ❁❁❁
あんな事があっても、楽を擁護するとか。
ホント、目が離せない危うさ。
天「愛聖は、それでいいの?」
『うん、それでいい。じゃないと、いつまでも考え込んじゃいそうだから』
天「なら、社長の真似に免じてそうしとく」
仕方ない、と最後にそう言って笑って見せると、愛聖はさっきの事を思い出したのか、聞かなかったことにして?と両手で顔を覆った。
そんな愛聖を連れて部屋に戻れば、そこに楽の姿はなく、龍が壁に寄り掛かりながら楽のベッドルームのドアを見つめていた。
「龍、楽は?」
龍「今は愛聖に···合わせる顔がない、って」
言いながら龍は、視線でドアの向こうを示す。
『向こう側にいるのは確実なんだよね?』
そう言って愛聖がドアへと進む。
「愛聖、今は放っておいたら?」
何気なく腕を掴み足を止めれば、愛聖は小さく笑いながらボクを見る。
『大丈夫。こういうのって、時間が経てば経った分だけ難しくなっちゃうから。私は、楽とまたふざけあいっことかしたいから。それにほら、楽って変なところでへそ曲がりだから、意地張って意固地になる前に、ね?』
「そう。じゃ、ボク達はここにいて黙って見てる」
ボクと愛聖のやり取りを聞いて、龍がそわそわしてるけど特に気にすることもなく、ただ、様子を見守った。
『楽、入ってもいい?』
楽「···入るな。俺はいま、後悔のど真ん中にいる」
ほら、やっぱり放って置けばいいのに。
『そっか···じゃあ、帰るね···龍、お手間かけちゃうけど、お願いします』
龍「手間だなんて思ってないよ。じゃ、遅くならないうちに行こうか」
『あ、帰り途中でプリン買いたいんだけどいい?王様プリン、約束してるの』
龍「王様プリン?あぁ、あの瓶に入ってるやつね。いいよ、帰りがけにどっか寄ってあげる」
『ありがとう、龍。天も、いろいろありがとう···またね?』
ドア越しに言って、愛聖はそのドアの横の壁に背中を預けボク達に向けて唇に指を当てながらにこりと笑う。
まさか、楽が出てくるまで待つつもり?
そんな事を考えて眉を寄せながら、それでも様子を見ていた。
どれだけの時間が経ったのか、ドアの向こうで人が動く気配がした。