第6章 BLESSED RAIN
楽の内緒話がバッチリ千に聞こえていて、千が怪しく微笑みながら楽に詰め寄っていく。
こういう時の千って、悪ノリするからなぁ。
千「ねぇ、どうなの?」
楽「···なんの話でしたかね」
すました顔で楽が話を逸らそうとしても、千にはもう聞こえてるみたいだから逃げられないっていうのに。
千「じゃあ、仕方ない。これはあんまり使いたくない裏ワザだけど、先輩命令で、」
『待った!異議あり!!』
さすがに千の必殺技はここで使っちゃダメでしょ!
天ならまだ正論並べて小さな反撃をするけど、楽は妙なところで先輩命令とか言われたら、変に素直に聞き入れたりするから!
百「弁護人の発言を許可します」
千「裁判官のモモ、キマってる」
百「うぇ~い!やった!褒められた!」
『···とりあえず2人とも聞いて。千が使おうとしてる裏ワザはズルい!···先輩命令とか言われたら、黙秘出来ないよ』
トップアイドルのRe:valeの2人が···まぁ、百ちゃんはともかくとして。
千が真顔でそんなこと言ったら大抵の人は顔色を見ちゃう。
···かも知れない。
千「ズルいって言われても、先に内緒話とかしてたの愛聖達だけど?···僕を目の前にして」
『内緒話···あぁ、もう!分かった、分かりました!···楽、腹を括って』
ふぅ···とひとつ息を吐き、楽の肩をぽんっとたたく。
楽「腹を括れって、お前なにする気だよ」
『仕事は明日の朝までなかったよね?だったら、少しくらいお酒飲んでも大丈夫でしょ?』
楽「大丈夫じゃねぇよ!俺は今日ここまで車だぞ」
『知ってる。だから、帰りは···』
楽はいつも、車の鍵はスラックスの右ポケットに入れてる。
楽「あ、おい!どこに手突っ込んでんだよ!」
それを探り当てるようにポケットに手を突っ込み鍵を見つけ出すと···チャリン、と楽に見せて微笑んだ。
『私が送ってあげるから、ね?』
楽「何考えてんだ愛聖!返せよ、鍵」
『心配しなくて大丈夫だって、車ぶつけたりしないから!ちゃんと八乙女社長にマンツーマンで練習させられたから』
楽「そこの心配じゃねぇし!いいから鍵返せっての!」
ごめん、楽。
私の保身の為にそれは出来ないんです。
だって千は、事情が分かってゴキゲンになったらきっと···アレ、だしね。