第6章 BLESSED RAIN
小テストで平均点より、上?
わざわざそれを教える為に私に電話くれたとか、四葉さん···なんだかちょっと、かわいい。
私より少しだけ年下ではあるけど、私が軽く見上げるほど背格好も大きいのに。
男の人にかわいいって言ったら怒られそうだから言わないけど。
だってよく一織さんが三月さんに言っては、うるせぇ黙れ!とか言われてるし。
だけど、この···なんて言うか、胸の奥をくすぐられる感じが、ほんわかとして暖かい。
『凄い!この前一緒に勉強した成果がさっそく出たんですね!でも、四葉さんが頑張ったからって言うのが1番の効果ですよ?』
環 ー スゲー嬉しかったから、マリーに早く教えたくて。そしたらヤマさんが電話してやれって ー
なるほど···そしてその二階堂さんは四葉さんにとんでもない確認をさせている、と。
四葉さん、二階堂さんみたいな大人になっちゃダメよ?と心の中で二階堂さんにだけ毒づいてみる。
『教えてくれて私も嬉しいです。だから今度、ご褒美に王様プリン買ってあげます』
環 ー マジで?!やった!···2個とか買ってもいい? ー
え、2個でいいの?
私てっきり、5個買って!とか言われると思ったんだけど。
四葉さん、やっぱり···かわいすぎる!!
『分かりました、2個買ってあげますね。私の分も買うから一緒に食べましょう?』
環 ー おぅ!約束な、約束!そしたら俺、また頑張る! ー
『そしたらまた、ご褒美に王様プリンですね』
環 ー マジで?!俺、超頑張る! ー
通話の向こうで四葉さんがどんな顔をしているのか想像がついて、思わずフッ···と笑ってしまう。
『またお勉強会しましょうね?私が苦手な科目は、逢坂さんや一織さんも呼びましょう』
環 ー そーちゃんと、いおりん?マリーと2人がよかったけど···王様プリンの為に頑張る ー
ここまで懐いてくれると私としても嬉しいけど、お勉強会は私だけじゃ賄いきれない部分もあるから。
環 ー そーちゃん達には俺が伝えとく。マリーも急に電話したのに出てくれて、えっと、あ、ありがとう ー
『良い知らせだったので大丈夫です。じゃあ、また寮で』
おぅ!と四葉さんらしい返事を聞いて、彼が通話を切るのを確認してから私もスマホを閉じた所で、誰かの話し声が聞こえて何となく振り返った。