第6章 BLESSED RAIN
楽「食わないのか?」
『食べてるよ?』
なんだろう、この不思議な感じ。
楽に連れて来られたお店の料理は、どの食材も新鮮でちゃんと美味しい。
けど、なんか···万理や三月さんとか、千が作ってくれるご飯の方が、口に馴染んでいる···なんて言えない。
楽「もしかしてお前、天が言った事を気にしてんのか?」
『天?···あっ』
なんかちょっと、嫌なこと思い出した。
楽「天の言った事は別に気にしなくていい。あの後、天が言ってた···本当は、愛聖は前よりも随分と線が細くなった気がする、とか?」
『天が?だってこの前は丸くなったって』
楽「そう言うしかなかったんだろ。まさかあの場でちゃんと食ってるのか?なんて聞けないだろ、そっちの社長もいたんだし」
まぁ···そうだけど。
確かに、時々出しては眺める···母さんの形見の指輪が緩くなったかもとは思ってたけど、時間帯のせいかな?くらいにしか思ってなかった。
それに前に千の家から戻って寝落ちてしまった時、目が覚めたら一織さんのベッドで寝ていて。
後々、重かったでしょ?って聞いたら···
一「いえ、別に。寧ろ佐伯さんはもう少し食事の量を増やした方がいいんじゃないですか?これから先、再活動をするのなら体力持ちませんよ」
···なんて、眉1つ動かすことなく淡々と言われてしまった。
四葉さんにも細すぎるとか、三月さんにももっと食べろ?とか···七瀬さんにも、ダイエット中なんですか?とか。
···私からしたら、みんながたくさん食べるんだと思ってたけど。
逢坂さんとかは、みんなに比べたら食が細いのかな?位にしか思ってなかったし。
そう言えば姉鷺さんにも、少し痩せたんじゃない?とか言われたことあったし。
やっぱり、もう少し食べるようにしないとダメかなぁ?
う~ん···
『よし!もう少し食べるようにしよう!』
楽「···なに急に気合い入れてんだ?」
『だって、みんな軽々と抱き上げたり、ギュッて抱きしめられたりするけど軽すぎるとか細すぎるとか言うなぁって思って。だからもう少し食べるようにしなきゃ!って』
楽「···は?なんだよそれ。お前そんなに頻繁にそんな事されてんのかよ」
『なにが?』
不機嫌な表情をチラリと見せる楽に日常の事だからと言えば更に眉間にシワを寄せた。