第5章 ヒカリの中へ
ー 後悔···しない? ー
しばらくの沈黙の後、流れ落ちていく涙を指で掬った千···が演じるカレが、同じように涙を零しながら微笑む。
ー おいで···僕の、最初で最後の···妻と呼べる人··· ー
体を寄せ合いながら、何度も、何度も口付けを交わし合い···やがてそれは、お互いの肌の温もりを確かめ合っていって···
···って!!
『こらァ!!···みんなしてなんて物をみてるんですか!!』
未成年ラインギリギリのシーンで思わず大きく叫んだ。
三「あ、帰ってきたのか。おかえり」
『おかえりじゃありません!消して?!今すぐ消して!!恥ずかし過ぎるからぁ!!』
手荷物を放り出し、みんなの輪の中に飛び込みながらテレビを消そうと騒ぐ。
『リモコン!リモコンどこですか?!···あっ!二階堂さんいま隠したでしょ!出して!!』
サッと背中にリモコンを隠す二階堂さんに詰め寄り、それを取り上げようと手を伸ばせば。
大「いまイイトコなのに?ってことで、へい!タマ!」
ニヤリと笑う二階堂さんがリモコンを四葉さんへと放り投げる。
環「っとと!ヤマさん急に俺にパスすんなよな···」
『四葉さん!それ渡して下さい!』
二階堂さんから離れて四葉さんへと足を向ける。
大「絶対愛聖に渡すなよタマ!」
···こうなったら奥の手で!
『四葉さん!リモコン渡してくれたら王様プリン2個買ってあげます!』
環「マジで?!王様プリン買ってくれるのか?!」
目をキラキラと輝かせる四葉さんに、もちろんです!と答えると、四葉さんは高々と上げていたリモコンを降ろす素振りを見せた。
大「ちょいまち!タマ···リモコンを死守したらオレが王様プリン5個買ってやる!」
5個?!
環「ヤマさんマジで?!···んじゃあ、いおりんパス!」
一「そこでどうして私にパスするんですか!えっと···六弥さん!」
ナ「ナイスパス!···マリー、アナタの欲しい物はココにありますよ?では···ソウゴ!」
壮「えっ!僕?!あ、えっ、リ···陸くんパス!」
三「お前ら騒ぎ過ぎだろって!」
陸「わっ!···壮五さん?!」
ひとつのリモコンが次々と宙を舞いながら手渡されていく。
その間もずっとテレビ画面ではストーリーが進んでいて···