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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第5章 ヒカリの中へ


百「だけど、みんなに黙ってるのは心苦しい時もあったから、コレで良かったんだよな···きっと」

『百ちゃん···それに関しては私は百ちゃんに、たくさんのごめんねと、たくさんのありがとうでいっぱいだよ』

いつまでも決心がつかなかったせいで、百ちゃんに大変な思いをさせていたんだから。

『改めて言うね。百ちゃん···ごめんなさい。それから、ありがとう』

百「じゃあ、さ。頑張った百ちゃんに···ご褒美くれない?」

『ご褒美?···いいけど、なにをあげればいいの?あ!じゃあさっきの新作スイーツ私の分もあげる!』

百「やった!···って、そうじゃなくて···」

やっぱ新作スイーツだけじゃ足りない、か。

そうだよね、あんなに大変な秘密を守ってくれてたんだから。

あとさっき買ったのはアイスとお菓子と···なんて買い物した時の商品を次々と思い浮かべてみる。

百「ねぇ···ご褒美なに貰おうか考えるから、10秒くらい目瞑ってて?」

百ちゃんが考えるのに、私が目を閉じる意味が分からないけど···とりあえず言われた通りに目を閉じた。

『これでいい?』

目を閉じたまま百ちゃんを見上げるように言えば、一瞬ピクリと体を震わせた百ちゃんが息を吐く。

百「···充分。そのまま、じっとしてて?」

目を閉じてるから何も見えないけど、百ちゃんの腕から解放されて···ふわり、と空気が動く。

もしかして、このままこっそり隠れられたりしないかな?と思ったりしながら立っていると、そっと頬に手を当てられて。

目を閉じていても上を向いているせいで眩しさを感じていたところに影が落ちて来て。

少しだけひんやりとした感触が、私の唇に重なった。

え、ウソ···ま、待って?!

これってもしかして?!

それはほんの数秒だったけど、驚きと動揺で体が動かない。

スッと唇が離れて目を開けると、まだ至近距離にいた百ちゃんと目が合う。

ウソでも幻でもなく···現実だった。

『百ちゃん、いまの···って』

そっと指先で自分の唇に触れる。

百「ご褒美、貰っちゃった」

百ちゃんとのキスは初めてじゃない···けど、それは映画の中での事で。

いまのは映画でもドラマの撮影でもなく、現実世界での事で。

止まった思考回路が復旧するまで、その場に呆然と立ち尽くしていた。









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