第5章 ヒカリの中へ
傍から見たら、まるで恋人同士···大幅に譲ってもドラマのワンシーンみたいな千さんの言動だ。
いくら愛聖が子供の頃からの知り合いだとしても、構い方が···なんだ?
なんでオレは···こんなにイラついてんだ?
チッ···と軽く舌打ちしてから、改めて画面の中を見る。
「佐伯 愛聖」
『は、はいっ!あ···楽か···ビックリした···』
なんでそんなに驚くんだよ···電話繋がってんの聞いてただろ。
オレは幽霊か何かか?と言ってやろうとして、それよりも早く声を出した愛聖の言葉に眉間にシワを刻んだ。
『八乙女社長に···呼ばれたのかと思った』
「はぁっ?!なんでだよ!」
龍「楽、落ち着けって!社長と楽は親子なんだから似てても仕方ないだろ?」
『ごめん楽!その、社長が怒って私を呼び出す時って、いつも佐伯 愛聖 ってフルネームだったから、つい···』
あぁ、そういや確かに···と思いかけて、それ以前の事に笑いが漏れた。
「つーかお前、なんでオレが電話しても出ねぇんだよ。どんだけオレが嫌いなんだ、あ?」
電話もラビチャも音信不通、それはRe:valeのおふたりさんも同じだったのに、部屋に連れて帰る程に愛聖とコンタクトが取れた。
『私はちゃんと、楽のことは好きだよ』
···なっ、···まぁいい。
「オレの事はちゃんと好きってなんだよ」
散々心配かけたヤツに、仕置と称して意地悪な返しをしてやる。
『だから、好き···』
それが地雷を自分で踏んだ事に気づかされるのは直後だった。
擽ったい言葉に緩む顔を咄嗟に片手で覆い隠す。
『もちろん龍も好き』
龍「アハハ···ありがとう。なんか照れるな···」
照れてんじゃねぇよ!
つか、みんな同レベルかよ。
千 ー 愛聖。僕の前で他の男に好きだとか、妬ける ー
妖艶に微笑む千さんに愛聖は困り笑いをしながら千さんを見る。
『千には大好きってさっき言ったよ?』
百 ー オレも!オレもユキと一緒に言われた! ー
『うん、百ちゃんも大好き』
同レベルじゃなかった!!
何気なく勝ち誇った顔を見せる千さんに、思わず苦い顔をする。
愛聖。
お前、今度直接会ったら覚えてろよ···