第5章 ヒカリの中へ
移籍発表をして、すぐに仕事が軌道に乗れるほど簡単じゃない事が分かってるから、千との約束を果たせる日がいつになるのかは保証出来ない。
だけど、自分で決めた以上···とことん頑張るしかない。
いろんな人を演じるのは、子供の頃からの夢だったから。
そんな不安をひとつずつ取り払いながら千を見れば。
千「大丈夫。愛聖は絶対、頑張れるよ。だって僕が応援してるんだから」
百「ユキ、そこは僕達って言ってよね!マリー、これからずっと頑張れるように百ちゃんがスーパーミラクルなおまじないしてあげる!はい、ほっぺにチュー!!」
『百ちゃん?!?!』
逃げる隙もなく呆気なくそれをされて硬直していれば、それを見て千が笑った。
千「モモばっかりズルい。だったら、僕はこっち側に···」
スっと近付く整った顔から目を離せずにいれば、頬に触れる柔らかな感触···
『あぁ···今を煌めくRe:valeにそんなスーパーミラクルな事されたら、私もう顔洗えない···』
「「 洗えよ! 」」
息ピッタリな突っ込みを入れられ、思わず吹き出してしまう。
『もう···千も百ちゃんも最高過ぎる!大好き!!』
千「知ってる」
百「オレも!」
ここに来るまでの緊張感なんて忘れるほどの時間に、こんなに笑ったのはどれくらい振りだろうかと思うほど、いつまでも笑った。
千「愛聖。ひとつだけ訂正して?」
『訂正って、なにを?大好き···じゃダメなの?』
そう返せば、千は怪しげに笑って。
千「僕達は、今を煌めくRe:valeなんかじゃない。これからもずっと煌めき続ける···Re:valeだよ」
百「キャー!ダーリンイケメン!」
千「···知ってる」
···出た出た夫婦漫才。
『えっと···いただきまーす!』
「「 放置?! 」」
『わぁ!ドレッシングまで手作りだ!』
「「 聞いてよ! 」」
それに反応して笑い出せば、2人も同時に笑い出した。
百「せっかくだから、食べよっか!」
千「モモが言うな」
百「だってホッとしたら腹減ったんだもん!」
千「モモはホッとしなくてもいつもお腹空かせてる」
『言えてる···』
百「ちょっ!マリーまで?!」
懐かしく感じる3人の時間に、私もそっと···心を寄せた。