第5章 ヒカリの中へ
百ちゃん···きっと私が1人じゃ千の家に行きづらいんじゃとか、気を使ってくれてるんだろうな。
まぁ、確かにそれはあるけども。
“ 分かった、百ちゃんが来るまでここで待ってるね? ”
百 “オッケー!あ、でも外で待つのはいろいろ危ないからさ、ちゃんとお店の中で待ってなよ? ”
危ないからって誘拐されるわけじゃないだろうに。
私も一応···大人なんだけどな。
百ちゃんの気遣いに甘えながら、お店に入ってるねと返事をしてスマホを閉じた。
言われたように店内に入れば、新作スイーツ!と書かれたプレートに心奪われカゴに3つ入れては、お菓子も···とか、アイスも買っちゃう?とか1人でウキウキしながらカゴへと商品を入れて行く。
買い過ぎかも···と、いつか七瀬さんとお買い物に行った日のことを思い出しては、どれを棚に戻そうか悩む。
新作スイーツは捨て難い···むしろ食べたい。
アイスも···う~ん···
だけどお菓子も···これから怒られに行くのにお菓子買って行ったら、何考えてるんだとか更に怒られるかな?
だけど、捨て難い。
仕方ない···怒られたら、千の家に置いて帰ろう。
それか百ちゃんにあげて、後で味の感想を聞くって事も出来るかな?
よし、百ちゃんが来る前に会計だけ終わらせちゃおう!
混み出した列に並んで順番を待ち、自分の番が来て財布からお金を出そうとした時。
「これでお願いしまーす!」
横からスっと伸びた手で交通系のカードが差し出され会計を済ませてしまう。
『百ちゃん?!』
百「はい、会計終わり!行こう!」
レジ袋も百ちゃんが受け取り、背中を押されて店を出る。
百「買い物するならオレが来るまで会計待っててくれればいいのに」
『そういう訳には···あっ、お金!』
財布からお金を出そうとすれば、そのまま財布を閉じられてカバンに突っ込まれてしまう。
百「今日は特別に百ちゃんが奢ってあげる!」
『ダメだよ。ちゃんと払うから』
再び財布を出そうとカバンに手を伸ばせば、その手を今度は掴まれてしまう。
百「ダーメ。先輩の言うことは聞くの!それに百ちゃん働き者だから、これくらい何ともないし?オレも気になってたんだよね~、この新作スイーツ!」