• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第5章 ヒカリの中へ


「行き先は、分かってるからさ」

ユキがこういう時に足を向ける場所。

そこは···

ユキとバンさんが最後にライヴをした、あの場所。

もしかしたらバンさんがフラリと来るかも知れないとか言って、時間があれば···ユキはいつもそこに行くから。

『ごめんね百瀬くん。私の代わりに···痛かったでしょ?』

心配そうにユキに叩かれた頬に、マリーが手を添える。

「平気!愛のムチだと思えば痛くない!···とは言い切れないけど!」

『百瀬くん、やっぱり痛かったんじゃない···真っ赤になってるし』

少しだけひんやりとしたマリーの手のひらの心地良さを感じながら···今なら、言えるかもとその手に自分の手を重ねてみる。

『百瀬くん?』

「あの、さ?ずっと前から言おうと思ってんだけど。その···百瀬くん、っていうのそろそろやめない?」

『え、だって百瀬くんは百瀬くんだし』

「だーかーらー!ユキの事はユキって呼んでるんだからさ、オレの事もユキが呼ぶようにモモでいいって」

戸惑いを隠せずに俯いたり、何度も瞬きを繰り返すマリーをずっと見つめていると、少し照れながらマリーが笑って···

『じゃあ···百ちゃん、で』

···そう、呼んでくれたんだ。

「やった!なんか超嬉しい!」

ユキと一緒に活動するようになってから、ずっと距離があったように思ってたから。

百ちゃんって呼ばれるだけでもスゲー嬉しくて。

「ありがとう、マリー!」

勢いに任せて、マリーのおでこにチュッと口付けた。

『わっ!!も、百ちゃん?!』

真っ赤になって慌てる顔を見せるマリーがかわいくて、だったらもう1回!とか思ったけど···

姉「ちょっと?うちの大事なお姫様になんてことしてんの!」

『姉鷺さん!違うの、これは···』

怖ーい顔したお姉さん?に見つかっちゃって軽く怒られた。

「マリー、送ってあげたいところだけど今日はやめとくよ。でも、これからはバンさんの代わりに···いつでも、どんな時でもオレがマリーの味方になるからね!」

『ありがとう百ちゃん。だけど、万理は万理で···百ちゃんは百ちゃんだからね?』

ちゃんとオレを見てくれるマリーが嬉しくて、つい···またギュッと抱きしめちゃって、怒られた。




/ 1348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp