第5章 ヒカリの中へ
三「コレ···わかった!男か!···えぇっ?!」
ニマニマとしながら三月さんに怪しく親指を立てる二階堂さんを見て、何となく慌ててその親指を掴み隠した。
『違います!そういうのじゃありません!』
大「そういうのって例えばどういうの?まだオレはな~んも言ってないけど?」
ん~?と首を傾げながら私を見る二階堂さんに違うって言ったら違うんです!と言いながら、ふと考える。
相手は千なんだから男の人と言えば、違わなくも···ない?
そう考えてみれば、二階堂さんのこの指は間違ってない···よね?
でも千は男の人って言っても、万理や百ちゃんと変わらないし···
帰すつもりはないとか言っても、それは多分···長い長いお説教タイム···あぁ、そこは今なるべく考えたくない方向でもあるけど。
自分の手で包み隠した二階堂さんの手をまじまじと見ながら、いや、でも二階堂さんのこんな言い方はきっとそういう意味じゃないからやっぱり違う?とかグルグルと考えが回っていく。
頭の中で何度も肯定と否定をしながらも、二階堂さんの親指を立てたり倒したりと繰り返す。
大「あ~···あのさ、そういう風にずっと手を握られてると···さすがにお兄さん、テレちゃうんだけどなぁ?」
『えっ···ぎゃっ!』
なんの抵抗もなく二階堂さんの手を握ったままだった事に気が付いて、飛び退くように手を離した。
大「ぎゃっ!って、自分から握って来たクセに···お兄さんキズついちゃうなぁ」
『えっと、なんかいろいろすみません···』
三「おっさんからかい過ぎだっつーの!で、愛聖は夕飯はいらないって言ってたけど、軽く夜食位なら作っとくか?」
夜食···三月さんのご飯は一織さんが自慢気に惚気けるのが分かるくらい、本当に美味しい。
けど、ここはグッとガマンして。
『いえ、予定がまだ未定なので大丈夫です。もし夕飯が必要になったらコンビニとかで買って来ます』
大「コンビニ?カロリー高いぞ~?」
『ご心配なく!最近のコンビニ弁当はカロリー表示が付いてるって一織さんに聞きましたから』
···だからと言ってちゃんとしたご飯とは言えないかもだけど。
『とにかく三月さん、今日の夕飯···私の分はなくて大丈夫です』
三「おぅ、分かった」
後は外泊許可か···社長、事務所にいるかなぁ。