第5章 ヒカリの中へ
はぁ···なんて言えばいいんだろう。
ただ単に外出するだけならまだ早い時間だし、なんとでも理由は付けられるけど···
千 ー 帰すつもりはないから ー
···とか言われても、困るよ。
あっ、それよりも三月さんに夕飯いらないからって早く言わないと!
とりあえずどうなるか分からないけど、そこはハッキリさせて置かないと食事を作る人はいろいろ困るから。
それから二階堂さんの用事って言うのも聞いておかないと···っていうか。
さっきの千···絶対なにか勘違いしてる、と思う。
二階堂さんも電話中だって言ってるのに怪しげな爆弾落として行くんだから、まったく。
やれやれ、とため息を吐きながらリビングへ向かうと、ちょうどそこに三月さんと二階堂さんが揃っていた。
『三月さん、今日の夕飯なんですけど』
三「おぅ、なに食いたい?なんか思いつかなくてさぁ、さっきおっさんに愛聖になに食いたいか聞いて来てって頼んだけど、なんか取り込み中だったんだろ?」
二階堂さんに頼んだ···って事は?
『さっきの二階堂さんの用事って言うのは、もしかして献立を聞きに来たんですか?』
大「そういうこと~」
にまにましながらそう答える二階堂さんを見ながら、それならそう言ってくれれば良かったのに!と心で毒付きながらも、でもあの時にそれを声に出されても電話の相手は千だったしなぁ···と考える。
三「で、愛聖は食いたいモンあるか?」
『あ···それなんですけど。すみません、私ちょっと外出したいので夕飯はなしで大丈夫です』
三「外出先で済ませてくんのか?」
『それもまだ分かりませんけど、予定があやふやよりもその方がいいかと思って···帰れるか帰れないかも分かんないし···』
三「帰れるか分かんねぇって、どこ行くんだ愛聖?」
あ、しまった!
心の声が漏れてた?!
『あ~···えっと、まぁ···と、友達!そう、友達です!!』
三「友達?」
“友達”という括りが正しいのかどうなのか分かんないけど、強烈な勢いの友達···という感じでなら、友達···なのかな?
大「ミツ···そんなに野暮な事は聞いちゃダ~メ!愛聖のこの濁し方は、多分アレだろ」
三「アレって?」
大「だ~か~ら~···コレだよ、コレ」