第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 天side ❁❁❁
「龍。毎回言うけど、あれ位の質問はサラッと流せるようにしといて」
龍「···ゴメン」
楽「ま、今日もオレ達でサラッと流せたんだからいいだろ」
龍は世間的にはセクシー路線で···って売り出してるけど、実際の龍はそうじゃない。
まぁ、そのオンとオフのスイッチをちゃんと切り替えられるようになってくれないと···とか言ったら、また龍に甘い楽がうるさいんだろうな。
小さく息を吐いて楽屋のソファーに座ったところで、遠慮がちにドアがノックされた。
龍「はい、どうぞ?」
龍が声をかけると静かにドアが開けられ、そこに見知った顔を見る。
千「こんにちは」
龍「千さん!···あ、中へどうぞ」
龍がすぐにそう言えば、千さんは百さんと中に入って、ここでいいからとドアだけを閉めた。
千「今日はね、君たちに朗報を持って来たんだ」
「朗報?」
遠回しな言い方に眉を寄せながら返せば、千さんはそうだと小さく笑った。
楽「それで、朗報って言うのは?」
千「愛聖と、電話で話す事が出来たよ」
龍「本当ですか?!」
千「僕がウソをつくと思う?」
妖艶に微笑む千さんが、龍を真っ直ぐに見てスマホの画面を開いた。
そこには着信と、それから通話時間が表示されていて千さんが愛聖と電話で話をしたという証明にもなっていた。
千「まぁ···これはモモのスマホだけどね。でも、電話で話せたってのは本当の事だよ」
楽「それで、アイツはいまどこに?!」
千「それはまだ知らない。でも、これから分かると思うから、そしたらまた教えてあげるよ···ね、モモ?」
百「えっ、と···あ~···うん···そうだね」
いまいち歯切れの悪い百さんか気にはなるけど、とりあえず千さんがそう言うならボク達がどうこう言おうとどうにもならない。
だったら、また千さんが朗報とやらを持ってくるのを待つだけ、か。
あの時、ボクがかけた電話の向こうで泣いていた愛聖。
その声がまだ、耳に残ってる。
もし、愛聖と直接会うことが出来たなら···その時は。
飛びっきりのお説教を考えておかないといけないな、なんて考えてみる。
みんなをこれだけ心配させたんだから、それくらい覚悟しといて貰わないと。
あぁ、そうだ。
もちろん···床に正座でね。