第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 八乙女宗助side ❁❁❁
「好きにすればいいだろう。あいつはもう小鳥遊···お前の事務所の人間だ」
突然掛かってきた小鳥遊からの電話に、淡々と言葉を返す。
いつかは、と思っていたが。
自分の予想より遥かに早い現実に誰知れず苦笑を漏らす。
小 ー そう言うと思ったよ。だけど念の為、キミに報告だけはして置いた方がいいだろうと思ってね ー
「関わりのない人間の事を確認されても···知らん」
小 ー そんなこと言っても、僕はキミがちゃんと彼女を応援してくれる事は分かってるよ? ー
「なっ···くだらん話はそれで終わりか?俺はお前と違って忙しい···切るぞ」
小 ー あっ、ちょっと!八乙、 ー
忙しい···そんな簡単な理由を付けて強制的に通話を終える。
意外に、早い結論を出したな···小鳥遊。
生温いお前の事だ、暫くは自分の手元でゆっくり休ませて···と、時期が来るのを待っていると踏んでいたが。
いや、アイツも曲がりなりにも芸能プロダクションの代表だ。
いつ予測不可能な方向から刃を向けるとも分からん。
···待て。
それともこの件は、本人から申し出た事なのか?
愛聖ならば、復帰してそれなりの仕事があれば···さほど苦労する事もなく安定した道を歩けるだろう。
と、なると。
小鳥遊の話していたように、近い内に復帰するかも知れないとなれば。
業界内では急な移籍発表に、新しい土台での活動。
つまり、話題性には事欠かないという人間に対して大あり小ありな以来が舞い込む···か。
最初の仕事ひとつくらい···餞にくれてやるか。
同じように話題性を持たせれば、お互いに損はない。
ならば、早いうちに根回しをしておいた方が得策と言えるな。
切ったばかりのスマホを手に取り、1番上に出ているアドレスに指を置いた。
「小鳥遊か?」
小 ー どういう風の吹き回しかな?キミから掛けて来るなんて ー
···いちいち煩い奴だ。
「ちょっとした話がある。聞くか?」
自分から先に話出せばいいものを、わざわざ遠回しに言いかけてみる。
小 ー もちろん聞くよ。キミがそういう言い方をする時は、お互いに良い話だろうからね ー
良くも悪くも小鳥遊とは古い付き合いだから···先読みされていたか。
「話してやろう。実は···」