第4章 カケラの眩しさ
曲が終わって、上がってくる息を整えながらとめどなく落ちる汗にタオルを当てる。
同じ曲でも、パートによって違う動きがあるから···それなりに体力消耗する。
やっぱり、運動不足過ぎるかな···私。
七瀬さんとナギさん、それから三月さんと立て続けて踊るもんじゃないな···と笑いながら、準備運動としてはこれくらいにしておこう、と本来やろうとしていた事の準備をする為に、ヨガマットを広げようと振り返ったその時、妙な視線を感じて···ドアを凝視する。
ー あ、ヤバい。こっち見てる ー
ドア、閉めてあったハズなのに隙間が開いていて、そこにレッスン場の光が反射してるってことは、二階堂さんって事で。
ー えっ?それってまずくないですか?!だって愛聖さんは覗くなって言ってたのに ー
七瀬さん?
ー 怒った顔もキュートですよ、マリーは ー
ー 怒ってもかわいいなら、怖くねぇじゃん? ー
ナギさんに四葉さん···
ー お前ら騒ぐな!バレたらヤバいだろ! ー
ー そうだよ環くん。三月さんの言う通りだって ー
ー 兄さんの声が、いちばん大きいですよ ー
ふ~ん···三月さんに一織さん、それから逢坂さんまで。
···つまり、全員そこにいるって事ね。
絶対に覗いちゃダメだって言ったのに。
揃いも揃って、しかも全員でコソコソと覗いてるとか!
ちょっと、お仕置きを兼ねてビックリして貰おう。
束ねていた髪を解きながら、ツカツカと足早にドアへと向かう。
タオルを投げ捨て、ドアノブに手をかけて思いっきりドアを開いた。
『みなさん何してるんですか!絶対覗いちゃ···って、万理まで?!』
万「ア、ハハ···やぁ、元気?」
床に片膝を着きながらニコニコと笑い、気の抜けるような事を言う万理のネクタイを引っ掴み、同じように片膝を着いた私にグイッと引き寄せた。
『どういう事か、説明して貰いましょうか···有能事務員の、大神万理さん?』
万「いやぁ、まぁ···そう怒るなって。いつも愛聖がどんな自主練で体力作りをしてるか、みんなに見せてあげようかなぁ~なんて···」
『···で?万理の勝手な考えに、みんなを巻き込んだ···と?』
ナ「マリー、バンリは悪くアリマセンよ?」
『ナギさんは、黙ってて下さい』
ナ「oh、ソーリー···」