第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
万「せっかくだから、愛聖の自主練たる物を覗いてみる?」
そう言った万理さんにみんなが賛同して、ぞろぞろとこっそり階段を降りていく。
もちろん、オレもだけど。
「本当にこっそり覗き見なんてして大丈夫なんですか?」
絶対に覗いちゃダメだからね!と言ってたのに···きっとバレたら怒られんじゃないかな?
万「大丈夫。もしもの時は俺が壁になるから安心して?···ほら、微かにだけどドアの向こうから聞こえて来ない?みんながとっても良く知ってる曲が」
ナ「これは···ワタシ達の、」
三「だよな?愛聖は中で何やってんだ?」
大「前に言ってただろ?運動不足解消&ダイエットの為に、とか」
一「確かに振り付けをマスターするとなれば、それなりに体力使いますから···ですよね、七瀬さん?」
「なんでオレにそこで振るんだよ!オレだってちゃんと体力あるってば!そういうこと言う一織はかわいくないぞ!」
一「私に可愛さは必要ありません」
うわぁ、ホントかわいくない!
ファンの子の前だとニコニコしちゃうクセに!
なんでいつもオレには辛口なんだよ。
万「静かに、そっと···」
万理さんが音を立てないように静かにレッスン場のドアに隙間を作り、みんなで黙って中を覗いてみる。
中ではオレ達のいちばん最初の曲を大きくかけながら、愛聖さんがオレのパートを歌いながら踊っていた。
環「マリー、スゲーな。りっくんのパート、完璧じゃね?」
一「元の事務所が事務所ですから、ダンスの基礎となる部分はしっかり教育されていたんでしょう。そもそもあの曲は、それほど難しい振りはありませんから」
いや、そうかも知れないけどさ。
それにしたって、単なる運動不足解消やダイエットを口実にあそこまで覚えてるとか、凄いよ!
ナ「曲、終わりマシタね。マリーに声かけてみまショウ?」
万「ナギくん、待って。多分だけど、まだだ」
ドアに手をかけたナギを万理さんが止めて、もう少し見てて、とオレ達に小声で言う。
環「あ、また曲かけてる」
大「立ち位置も変えた?···あの立ち位置って、確か···」
ナ「oh!ワタシのスタートポジションですね」
ナギの?
言われてみれば、確かにそうだ。
じゃあ愛聖さんは、もう1回?