第4章 カケラの眩しさ
思わず呟くオレに、三月くんが苦笑を見せる。
三「いつもはこんなじゃないんだけどなぁ。愛聖が食べたい物作らせたら上達早いんじゃないかって壮五と話してて···おかしな献立に」
壮「でも、このエビチリなんて僕は美味しかったけど?環くんも涙を流しながらも食べてたし」
···それって、辛くて泣いてたんじゃないのか?
明日、差し入れとして王様プリンを持って来てあげよう。
「い、いただきます···」
戸惑いながらも挨拶をして箸を進める。
マグマの様に真っ赤なエビチリを恐る恐る口に入れ、その味を噛み締め···
グワーアッ!これは···これは!!
焼けるような味に思わず壮五くんを見れば。
壮「ね?辛くて美味しいですよね!」
違う···違うよ壮五くん···
これは辛くて美味しいっていうレベルではないよ!!
「お、いしい···けど···随分と辛いね···」
そうですか?僕は普通に美味しかったですけど···と壮五くんはニコニコしてるけど。
他のメンバーの明日の体調は大丈夫なんだろうか···
それ以外にも真っ黒い麻婆豆腐は痺れるような味で。
唯一安心して食べれたものはマカロニサラダと炊きごみご飯だけど···先に食べた物の後遺症で味がいまいち伝わらなった。
お腹は満たされたけど。
環くん···キミは一体、何をどれだけお代わりしたんだい···
三「オレらも死にそうになりながら食べたけど、万理さんも気合いで食べたよなぁ···ってことで、これデザートの杏仁豆腐な。ちなみにこれはオレだけで作ったから安心していいぜ?」
「ありがとう、三月くん」
三月くんだけで作った杏仁豆腐が、デザート!
いま俺には···三月くんが天使に見えるよ···
至福の時間を過ごし、せめてご馳走になったお礼にと洗い物をして水道を止める。
「さて、と。愛聖はレッスン場だったよね?ちょっと行ってみるかな?」
そう言えば、あそこに人を寄せ付けずに自主練とか···多分、アレをやってるな?
みんなには覗くなって言ってたみたいだけど、もしかしたら···それがいい起爆剤になるかも知れない。
···試してみる価値はあるかも。
激怒したら、俺が責任もって謝るしかないけどね。
よし!じゃあ···例の件を決行するか!