第4章 カケラの眩しさ
あれから数日。
結局···私は少しでもみんながレッスンする時間が確保出来るようにと、出来る範囲での家事の担当を申し出て毎日を過ごしている。
『よし!洗濯物は終わり!あとは···掃除機かけと、それから···』
買い出し···か。
今日は買わなきゃいけないものが沢山あるし、重たい物もあるから三月さんと二階堂さんが一緒に行くって言ってたけど。
本当はまだ、買い出しに行くのは···怖い。
またどこかの撮影班とかがいたら、とか思うとどうしようもない気持ちが溢れて来る。
だけど心のどこかで、早くまた演じてみたいという気持ちがあるのも確か。
いつかまた···そのいつかはいつなのか、全然わかんないんだけどね。
要は私の、気持ちひとつ···なんだけど。
共有スペースを次々と掃除機をかけながら、いつまでもこのまま社長の気持ちに甘えてばかりじゃダメなんだから、と心に塩を塗る。
三「愛聖、掃除機終わったか?終わったなら、そろそろ買い物行こうぜ?」
コンセントを外していると、リビングのドアから三月さんが顔を出した。
『ちょうどいま終わった所です。急いで支度して来ますから、ちょっと待って下さい』
大「準備なんてしなくても、お前は可愛いぞ···」
三月さんの後ろからリビングに入って来た二階堂さんが、そんな事を言いながら私に近付いて来る。
大「それとも、支度ってのは···オレの為?」
両手に私を閉じ込めつつ怪しげに微笑む二階堂さんのメガネがキラリと光る。
けど···。
『二階堂さん、めちゃくちゃキメてる感出してますけど···寮の、しかもリビングで壁ドンされてもトキメキの微塵もありませんけど?』
三「···だな」
大「お、お兄さん恥ずかしい!」
顔を覆ってしゃがみ込む二階堂さんを見て三月さんと笑いながら、支度をする為にリビングから出た。
今日も今日とてノーメイクだけど···、さすがに2人と外に出るならご近所メイクくらい必要だよね?
私は別に平気だけど、三月さんや二階堂さんが恥ずかしい思いをするのは悪いと思うし···
そう思った私は、姉鷺さんから教わった早技メイクを施してサッと着替えを済ませてから玄関で待つ2人の元へと急いだ。