第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
「えっ···愛聖を、ですか?」
まだ退社していない社長にお茶を持って行くと、ちょうど良かった!なんて言われて愛聖の移籍会見の事を聞かされた。
小「今日、本人と少し話をしてね。ちょっと事情が変わったんだ。もちろん本人はまだその気ではなさそうだけど、僕としては準備だけは少しずつでも進めておきたいと思ってね」
「どうしてそれを、俺に?」
社長が決める事なら、別に俺の意見を聞かなくても誰も反対なんてしないだろうに。
小「う~ん···愛聖さんから聞いた話の内容を、万理くんにも聞いて欲しいと判断したから、かな?」
「愛聖が社長に話したいと言ってた事はどんな事だったんです?」
小「それはね万理くん。実は今日···」
社長が愛聖から聞いた話を聞かされて、一瞬どう言葉を発したらいいのか戸惑う。
確かに他の事務員から、この近くで何かの撮影をしてるようだとは聞いてたけど···それがまさか、百くんのドラマの撮影だとは思わなかったから。
そして、たまたま買い物に出掛けていた愛聖が···スタッフから声を掛けられた事にも、驚いた。
「そんな事が、あったんですか···」
小「そうみたいだね。愛聖さん自身はノーメイクだったし、声を掛けてきたスタッフには佐伯 愛聖 だとは気付かれなかったから、タレントとしてのオーラが皆無だったのかもと言っていたけど、僕は違うと思う」
まぁ···ノーメイクの愛聖も、カワイイと言えばそうだけど。
あ、いやいや···今はそういう事じゃなくて。
小「見る人が見れば、ノーメイクだろうと分かる物なんだよ···秘めてる輝きがどんなに小さくても。ただ、愛聖さんに声を掛けたスタッフと言うのが、気にはなるけどね···彼は、八乙女の所にいる時に愛聖さんに迫って来た、プロデューサーの息が掛かっている人物だよ」
「愛聖が解雇される原因になった人の···?!」
小「彼には黒い噂が絶えなくね。中でも1番多いのは···新人や落ちだしたタレントをそそのかして、遊びに飽きたら切り捨てる、そういう類の」
それじゃ愛聖がもし、そういう事になっていたら···もしくは···