第4章 カケラの眩しさ
百ちゃんとの電話のあと、少しの間ベッドに腰掛けながらボンヤリとしていた。
百ちゃんは私が聞かなくても、Re:valeやTRIGGERの近況をいろいろと話してくれた。
それで最後には···
百 ー マリーは···女優、辞めちゃうのか? ー
そう聞かれて、それは···と、返事が出来なくて黙り込んでいると。
百 ー ごめん、聞かない約束だったよね。ホントごめん ー
そうやって百ちゃんが私の逃げ道を作ってくれて、その話題は終わったけど。
私···本当は、小鳥遊プロダクションに所属したんだよって、言ってしまいそうだったよ?
研究生からやり直して、またたくさんの光の中に戻りたいと思ってる。
小さい頃からずっと憧れてた世界へ飛び込んで、八乙女社長にいろいろと勉強させて貰って。
たくさんの人物を演じて来て、楽しかった。
最後の方は、ほとんどそれも出来なかったけど。
これからは新しい居場所で、いろんな役を演じてみたい。
···仕事が来れば、だけど。
小さく息を吐いて、ベッドから立ち上がる。
なんだか目が冴えちゃったなぁ。
百ちゃんとたくさんおしゃべりして、喉も乾いちゃったし。
三月さん、まだリビングにいるかな?
もしいたら、軽くお茶飲みませんか?と誘ってみよう。
1人でポツンとテーブルに座ってるより、誰かがいてくれる方がありがたい時もある。
いつもは美味しいご飯を作ってくれるから、そのお礼···という訳ではないけど、お茶くらい···入れてあげられるし?
そうだ!
今度ちゃんとお料理教えて貰おう!
みんなはいろいろと忙しいかも知れないけど、私にはみんなより少しは時間があるから。
三月さんと逢坂さんに、少しずつ教えて貰えたら···食事当番の時に困らないしね。
あ、でも···スパルタ教育だったら、どうしよう。
前に1度、千に教わった時は超スパルタだったからなぁ。
ふと、その時の事を思い出して表情が曇る。
万理が言ってたように、昔は千が何にも出来なかったって言うのがウソみたいだった。
と···とりあえず、お茶···飲もう。
お茶くらいなら、入れられるんだから!
部屋のドアをそっと開けながら、小さなガッツポーズを構えて廊下へと出た。