第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 龍之介side ❁❁❁
「あれ···千さん?」
千「やぁ···奇遇だね」
仕事終わりにフラリと立ち寄ったスーパーで、特に変装する事もなく堂々と買い物をしている千さんと会った。
あれだけの超売れっ子アイドルなのに変装もなしとか、俺が驚いたよ。
「ここで買い物って、家が?」
千「僕じゃない、どちらかと言えばモモ。今日は別々の仕事だったけど、電話で話した時に元気ない感じだったからご飯作ってあげようかと思ってさ」
「そう、なんですか?仲良しですね···羨ましいなぁ」
俺達は···そこまで仲良しな感じじゃないしなぁ。
千「ひとり?」
「あ、はい···たまたまフラリと寄ったんで」
今日はオレもみんなと別々の仕事だったし、マネージャーは天の仕事に同行してるから、現地解散した俺は気ままに寄り道しながら帰る途中だったんだけど。
まさか、ここで千さんに会うとは思ってもなかった。
千「···来る?」
「えっ?」
千「だから、一緒に来る?」
普段から言葉数が少なめな千さんを考えて、今のはもしかして俺···誘われてる?と判断する。
「いいんですか?」
千「いいよ。モモは賑やかなのが好きだし、僕だってアポなしだからね」
アポなしで百さんの家に行くって···結構無謀なんじゃ···
千「大丈夫。もしモモがいなくても中には入れるから安心して」
俺の考えてる事を読み取ったかのように、千さんが家の鍵を見せてくれる。
「えっ···と。じゃあ、お邪魔します。千さん、百さんの家で料理作るんですよね?俺も手伝います!沖縄料理とか、百さん好きかなぁ?」
せっかくRe:valeの2人に食べて貰うなら、沖縄料理を食べて貰いたいし!
千「モモは、肉ならよく食べるよ。僕は···野菜があればいい」
なるほど···千さんはベジタリアンなのか。
だったら沖縄料理にも野菜たっぷりのがあるから、それを食べて貰えれば···
千「じゃあ、買い物が済んだら入口のところで」
「はい!よろしくお願いします!」
そこで別れて急ぎ足で店内を回りながら材料を揃え、会計を済ませて先に待ち合わせ場所で待つ。
大先輩を待たせるわけにはいかないし、ね。
だけど、これから百さんの家に行くって楽と天が聞いたら驚くだろうな。
2人の驚く顔を浮かべながら、千さんを待った。