第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 百side ❁❁❁
話してる途中で黙り込んでいたマリーが、急に笑いだした。
ー ね?百ちゃんはさ?私と千だったら、どっちが好き?なんて ー
「えぇっ?!急になに?!ユキか···マリーか。そんなの決まってる!」
だってユキはオレが元々大ファンだったんだし!
だけど、マリーはマリーで···バンさんとユキが大事にしてた女の子じゃん!
そんなの決まってる!とか言いながらも、頭の中はユキとマリーで埋め尽くされて···
ー じゃあ、言ってみて? ー
このタイミングでマリーだよ!とか言ったら、変な言い訳みたくなっちゃうよな?!
だったら···ここはちゃんとしよう。
「ユキ!で、その次がマリー!」
元気よく答えれば、一瞬の間を開けてマリーが思い切り笑い出して···
「次って言っても僅差だよ?!僅差だから!ホントにもう、ほぼ並んでるくらい!」
ゲラゲラと笑うマリーに追い打ちをかけるように、そんな事も言ってしまう。
ー 分かってる。だけど、百ちゃんはホントにユキが大好きなんだって事が分かったよ ー
「もう!マリーは笑いすぎ!百ちゃん困っちゃう!」
そう言いながらも、昼間見た深刻な顔を思い出して···マリーがいま、どんな生活をしているのだろうかと自分の表情が暗くなっていくのが分かった。
あの時、手にしっかりと握られていた買い物袋の中には、柔軟剤の詰め替えと。
それから、缶ビールが2本と···
そして···色違いの歯ブラシが入ってた。
他にもお菓子とか、あとなんか市販のメイク落としシート?みたいなのとかも入ってたけど。
どうしてもオレは、色違いの歯ブラシが気になってしまって。
あの後の撮影でも、オレらしくないNGを出してしまった。
生活感のある買い物した品物の数々。
2本の歯ブラシなんて、1人でどこかに住んでいるとかなら、2本1度には買ったりしないだろ?
しかも···ピンクとグリーンの色違いでとか。
誰かと···住んでるのか?
それは···誰?
もしかして···男の人か?
聞きたいことは山のように浮かぶけど、でも···聞かないって約束したからさ。
たわいもない会話をしばらく楽しんだ後、また連絡するねと笑って···通話を終えた。