第4章 カケラの眩しさ
百ちゃんから届いたメッセージを見つめ続ける。
“ マリー 、まだ···起きてる? ”
ごく普通のひと言が、いまは凄くお互いの距離を測っているようでなんて返せばいいのか、迷う。
このまま返信しなければ百ちゃんはきっと、私が寝ていると判断してそれ以上は何も言わないだろうとは思う。
けど、今日···約束、したから。
“ 起きてる ”
たった1行だけの文字を打って、送信した。
···のは、いいんだけど。
そのあとパッタリと百ちゃんからラビチャ来なくて、私ではなく百ちゃんが寝てしまったのかな?と思って部屋の明かりを消そうと立ち上がった時。
ラビチャの着信音が鳴った。
“ 起きてて良かった ”
こんなに時間が空いてて···それだけ?!とは思ったけど、そこは敢えて何も言わずに
“ 今日は見逃してくれてありがとう ”
と、また返した。
“ あのさ、嫌じゃなかったら···電話していい? ”
続けて届くメッセージに戸惑いながら、今なら部屋だし、誰もいないから大丈夫かな?と思って私がかけますね?と送信して百ちゃんのアドレスを開こうとしたら手の中のスマホが着信を受けながら震えだした。
画面には、着信相手の名前が出ていて···それが百ちゃんだと分かって、通話ボタンを押した。
『もしもし···』
百 ー あ、えっと···オレ、だけど ー
いつも元気に話すのに、今は遠慮がちに言う百ちゃんに擽られる気持ちが生まれて、つい···笑ってしまう。
『オレって···どなたですか?』
百 ー だから、オレだよ、オレ ー
『オレオレ詐欺···?』
百 ー 違ーう!オレだよ!百ちゃんだよ! ー
はい、もちろん知ってます。
クスリと笑い、焦ってるだろう百ちゃんを想像して肩を震わせる。
『百ちゃん、ごめんなさい。ワザとです』
百 ー だぁっ!もう焦らすなよなぁ?···だけど、電話に出てくれて良かった ー
『約束、したから。それから、いろいろ心配かけてゴメンなさ、』
百 ー 待った!そのゴメンは今は聞かないでおくよ ー
百ちゃん?
百 ー 1番のゴメンは、みんなと一緒の時に聞く。オレだけ先に聞くのは、違う気がするから ー
『でも、』
百 ー いいの!マリーがみんなにそれを言う時は、オレも隣で一緒に謝るからさ?
ー