第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 千side ❁❁❁
ドラマの撮影が終わったよ!と電話をくれたモモの様子がどこか変だった。
···気がする。
撮影中に何かあったのか?
それとも、ただ単にお腹が空いてるだけ、とか?
でもそれなら、お腹空いたー!ユキのご飯が食べたいー!とか、ダーリンイケメン!とか、騒ぐのに。
···ちょっと待って。
いまの想像したモモを、自分で言ってて恥ずかしくなった···
モモは電話で、今日は疲れたから帰るね!って言ってた。
別々の仕事していても、必ずと言っていいほど僕の顔を見に来るモモが···よそよそしい?
まさか···?!
母さん浮気?!
···とか、バカな事を考えてる場合じゃないな。
もしかしたら、どこか具合いが悪くて元気がない可能性もある。
いや、それもないか。
ここ数年、風邪ひとつひかない健康体のモモだからね。
あの人懐っこいモモだから、人間関係の悩みではなさそうだし。
だったら、なんだろう。
知らないうちに僕がモモの機嫌を損ねた?
もしかしたら、あのヘアメイクとのツーショットを送り付けたのを密かに怒ってるとか。
···だからあれは誤解だって!違うんだ母さん!
う~ん···モモがいないとひとりでボケても、面白くない。
「お疲れ様でした!今日の撮影はこれで終わりになります!」
「千さんもありがとうございました!お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした。また明日も宜しくお願いします」
予定より少し押しながらも僕の撮影も終わった。
控え室に戻って衣装を脱ぎながら、帰ったら何をしようか···なんて考える。
まずはシャワーを···と、そこまで考えて足を止める。
僕の着替え、モモの家にもあったね。
それならやるべき事はひとつ、だ。
壁に掛けられた時計を見て、···大丈夫、まだ開いてる店はあるね。
ザッと買い物をしてからモモの家に行こう。
電話の時のモモの様子が気になるし。
だったら直接顔を見て、何もなければそれでよしと判断しよう。
心配し過ぎ?とも思われるかも知れないけど。
だけどモモは···僕の生き方を支えてくれている、大切なパートナーだから。
もちろん、万の事だって思い出さない日はない。
それに···愛聖だって。
未だ連絡がつかない2人までを思い浮かべながら、小さく息をついた。